ASC申請支援センターだより/中国旅行証について

 このページでは、ASC申請支援センターからのお知らせやご報告等をご紹介しております。

※現在は、退出時に旅行証の申請ができるようになっています。

 平成22年12月以降も正当な理由があれば一応旅行証は発行されていましたが、それが平成23年に入った頃から少し緩和されて来ましたが、平成24年3月13日付で完全に復活いたしました。

 この記事は退出時同時申請が一旦、廃止された際の記事です。

 なお、平成24年3月以降も、平成22年以前のような「旅行証退出時同時申請書」という名称の専用申請書は使われていません。一般の旅行証申請書を使います。

 帰化申請ブログでも、旅行証退出時同時申請の復活について述べています。

 

20101201中国人の帰化申請、関連記事

中国総領事館での旅行証の退出時同時申請が停止されました

 平成22年12月1日現在、中国総領事館における旅行証の退出時同時申請が停止されています。今回、新規の退出申請時に判明しました。

 領事館職員の説明によると、約1週間前頃より突然停止の取り扱いとなったとのことですから、11月20日前後からの措置のようです。とすれば、そのほんの数日前にも当センターから退出時同時申請を行ったばかりですので、突然の取り扱い停止に驚きを隠せません。

中国総領事館で行う旅行証の退出時同時申請とは

 帰化申請の受付が確定してから、受付の直前に中国大使館・総領事館において中国国籍を離脱する宣言を中国政府に行い国籍証明書を取得します。

 この手続きを「退出中華人民共和国国籍申請」といい、国籍証明書の交付と同時に、それまで使用していた中国パスポートはVOIDされ(ハサミで角を三角形に切られ)使用することができなくなります。

 つまり、帰化申請者は帰化申請後にはパスポートを所持することができなくなるわけですので、帰化申請後に海外渡航を希望される中国人の方はパスポートの代わりとなる臨時の簡易パスポートを大使館や領事館を交付してもらうことになります。

 この臨時パスポートのことを「旅行証」といい、これまでは退出中華人民共和国国籍申請と同時に行うことが可能でした。わざわざ「退出時中華人民共和国旅行証申請」「退出後中華人民共和国旅行証申請」と申請手続き名まで分けて扱われていたくらいです。

 しかし、この「退出時旅行証申請」がこのたび停止されてしまったのです。

 既に、申請書配布のレターケースからも外されました(ただし、スペースは残っていますので「廃止」ではなく「停止」と今のところ希望的解釈をしています)。

 つまり、日本への帰化申請者に対する中国政府の対応が変わったということであり、日本と中国の政治的な国際問題に発展する可能性を内包する一大事といえるでしょう。

退出時同時旅行証申請のタグが消えています

帰化申請後の海外渡航が大きく制限されます

 「退出時中華人民共和国旅行証申請」という制度はなくなりましたが「退出後中華人民共和国旅行証申請」の制度は一応のところ存在しています。

 しかしながら、これまでのように申請すれば、ほぼ間違いなく交付されるという扱いではなく、「退出申請後にどうしても緊急の用件が生じて、旅行証が必要になった時のみ、個別の領事判断により例外的に発行される」という扱いとなります。

 つまり、帰化申請後においても中国旅行証の取得はこれまでに比べて格段に難しくなったわけですから、中国人の方については、帰化申請後、日本国籍を取得して日本のパスポートを取得するまでの間は海外渡航できない覚悟をしておく必要があります。

 中国総領事館の見解によると、「例えば、退出中華人民共和国国籍申請の直後(ということは日本への帰化申請の直後)に、どうしても必要な渡航の用件が予定されているのであれば、その用件を済ませてから、帰化申請をすればよい。」という方針ですから、現時点では中国旅行証の発行はあまり期待できるものではないと推察せざるを得ない状況です。

退出者に対する中国旅行証の交付制限は、非常に多くの影響を生みます

 退出中華人民共和国国籍申請は、本年四月から条文内容までが国籍証明書にわざわざ記入されるようになった通り、中国国籍法第9条による国籍の喪失を予定していますから、日本への帰化申請が許可され日本国籍を取得されるまでは、退出後の中国人が中国国籍を有していることは間違いありません。

 退出申請後も日本人になるまでは、立派な中国国民です。ですから、退出者への中国旅行証の交付制限は、自国民への人権制限にあたります。

 特に、自国を離れて生活する国民にとっては、旅券や旅行証というのは、身分保障上、この上なく重要なアイテムですので、帰化申請により正式なパスポートが発行できなくなることはやむを得ないとしても、旅行証さえ交付せず、いわば無国籍者の地位に置くことは、第一として重大な人権侵害と解し得ることです。

 第二に、もしもこの中国旅行証の交付制限が、日本への帰化申請を望み中国国籍を離脱しようとする者に対する制裁処置の意味合いがあるとすれば、これは重大な国際問題となることは必至であり、心配いたします。

 このたびは「時期が時期だけに」、"尖閣諸島問題"が影響しているのですかと領事館に投げかけましたところ、職員の表情が曇ったりすることもなく一笑に付されましたので少し安堵もいたしましたが、制度変更の理由については不明瞭なままでした。もちろん、制度変更に対する法整備をしたような経緯も見られません。

 第三に、これは私ども帰化申請の専門家として、法務省・法務局という日本政府側との折衝が必要となる部分ですが、中国人の帰化申請手続き自体の見直しを考えなければなりません。

 この段落の冒頭に述べたように、退出申請は国籍法第9条に基づく申請ですが、旅行証まで交付されないほど中国国民としての人権侵害が著しいということは、国籍法第11条申請と変わらないと考えなければなりません。

 ということはすなわち、退出とともに国籍喪失をしたのと同じ扱いになるわけですから、非常事態といえるでしょう。ここが、常に外国法や外国政府の対応の変化に即して対応していかなければならない「帰化申請」の難しさです。しかし、韓国籍の方に限らず多くの申請を取り扱ってきた当センターとしての策は既に考えてはおります。韓国戸籍制度廃止時の対応と同じように、申請支援センターは「常に日本で一番早く」、日本の官庁との折衝の中で、新しい対策を実証していくつもりです。

 いずれにしても、今後に帰化申請をする中国人の方は渡航制限を覚悟しなければならないわけですが、「申請後に渡航予定がある者は用件を済ませてから申請すればよい。」という言葉を鵜呑みにするならば、職務上、出張が欠かせない人は「一生、日本への帰化申請ができない」ことになってしまいますから、あまり悩まずに考えを前向きに切り替えて、一日も早く帰化申請を済ませて「世界中動き回ることができる日本のパスポート」を取得したほうが早いのかもしれません。

中国旅行証を既に取得している方について

 ちょうど、この記事を書いている現在、制度変更の直前に退出時旅行証申請により中国旅行証を取得され、制度変更後の11/29より中国に帰国されている方がいらっしゃいますが、今のところ、渡航上の支障が出たような報告は入っていません。

 しかし、今後、既に交付されている旅行証についても期限を待たずにVOIDとなったり、単次証の扱いに変更される可能性も捨てきれず、今後も予断を許さない状況です。

 (2010.12.02記事)

 

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