韓国戸籍等と事実の間に齟齬があると帰化できません
帰化申請が許可されるためには、韓国戸籍等に齟齬(食い違い)がないことが必要です。韓国戸籍等の齟齬について、このページで説明をしております。
韓国戸籍と事実、韓国戸籍と日本の届出書の表記、その他の国の外国での届出書の表記と事実の間に齟齬があると、帰化申請が受付けてもらえないからです。
帰化申請は正しい日本の戸籍を編製する作業でもあります
帰化申請では、帰化許可後の日本の戸籍を作成することができなければ受付がなされません。
とくに韓国籍・朝鮮籍の特別永住者の申請において、戸籍等の整除がきちんとできていないために帰化申請ができなくなるケースの方が、むしろ他の要件よりも多く見受けられます。
そして、申請ができるできないということよりも、戸籍が正しいものでないまま放置しておく事は将来の相続がきちんとできなくなるという事を意味し、新しく帰化申請を始められた行政書士の方からも、見よう見まねの知識しか持たず法務局と相談しながら何とか依頼者の帰化申請は何とか許可になったのだが相続に際して「えらいことになった」がどうにかなりませんかというご相談が増えてきました。
韓国戸籍や日本での届出などの間の齟齬について
韓国戸籍(現在正しくは家族関係登録簿)と日本の届出書や登録で、自分や父母の氏名(本名)や生年月日が違っていることがあります。
「間違いなく、そのひとである」と、あるひとりの人物を確認することを人定といいますが、この人定はまずは氏名と生年月日により確認・確定していきますから、それが違っているということは、韓国に登録されている人物と、日本に登録されている人物は、「原則は」、別人物ということになります。
とくに「父がふたり居る」ような場合となると、間違いなく最低数十万円以上かけて裁判を行ってからでないと帰化申請は受付されませんから、どうしてでも「はっきりとした証拠」を提示して同一人物であることを証明しなければなりません。
特別永住者の方は、本国を離れて日本で生活してきたわけですから、韓国への届出を怠っていたり、間違って登録されたりすることはよくあります。また、過去には他人の名前などで不法滞在されていた方も多数おられ、親戚の子供として虚偽の出生届出をされるなど、日本の届出書類も間違った内容になっていることもよくあります。
結果として、韓国における登録(家族関係登録簿や過去における戸籍・除籍など)と日本での届出書類(出生届や婚姻届など)と本人自身の認識の間に齟齬(食い違い・相違)が存在することが、非常に多く見受けられるのです。
このような場合は、法務局や法務省が勝手にどれかに決めることはできませんから、そのままでは帰化申請はできません。また、申請者自身から「これが正しいからこれにしてくれ」と言葉だけで勝手に決めることはできません。
本人の認識が正しいのか、韓国登録が正しいのか、日本の登録が正しいのか、齟齬がある場合には真実が何かを確定し、なぜ事実との間に間違いが生まれたのかをはっきりさせ、たったひとつの真実を証明できる資料を提出しなければなりません。
親子関係など大事な事項の場合には、裁判所の関与により事実を確定するか、登録自体を訂正する必要があります。ただし、登録自体の訂正にも裁判所の関与(多くの場合、日韓双方の裁判所)が必要となりますから、時間も費用もかかってまいります。
登録の齟齬に関する補足事項
深刻な食い違い
実際には、特別永住者の方の場合、ほとんどのケースで何らかの齟齬が発見されます。
父母の生年月日が日本と韓国での登録が違っている等は日常茶飯事といってよいでしょう。原則は生年月日が違う人は同姓同名の他人とみなされますが、母親が存命であれば母の申述などで済まされることもあります。
しかし、母に前婚があり子供を授かった時点で正式に離婚できていなかったというケースなどになると深刻で、裁判所の関与なしに帰化申請を行うことはまず不可能です。裁判を行うにしても、誤って登録されている親や、真実の親が存命かどうかで難易度は変わってまいります。
弁護士をたてるとなると一般的な法律事務所で「着手金だけでも40万~60万円」程度が相場ですから、多額な出費が帰化申請料金とは別途に掛かってきます。
少しでも良心的な弁護士を探して奔走することも多いですが、裁判所の関与が必要となった場合には、必ず弁護士をたてた方が良いです。確定判決などには既判力があり、3審制とはいっても確定してしまえばよほどのことがないと再審は難しいからです。本人訴訟を勧める行政書士がいたらもぐりです。訴訟費用が捻出できないなら、裁判をしない方がマシかもしれません。
弁護士法上、当事務所でも弁護士の紹介やあっせんをすることはできませんが、等事務所と付き合いのある弁護士の中で、比較的安価で良心的な弁護士を個別に探していくことになります。
身分関係で相談を受けるべき方
特別永住者の方は本国戸籍との齟齬の問題があるので、全員の方が、法務局に行くより前に本国戸籍の内容を調べ相談を受けておいた方が良いのですが、とくに次のような方は深刻なケースに発展する可能性が高いので、必ず相談を受けられることをおすすめします。
- 母親が再婚している
- 両親の日本での婚姻届が見当たらない
- 韓国または日本において、両親の婚姻日が兄弟姉妹のうち第一子が生まれるよりも後になっている
- 自分または親が昔に「在留特別許可」を受けたという話を聞いたことがある
- 親戚の子供として育てられた
- 親が改名した話を聞いたことがある
- 親が終戦前後に日本に渡来した
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