思想条件(帰化申請の条件)の条文
思想条件は、帰化申請の条件（帰化要件）のひとつです。国籍要件について、このページで説明をしております。
※ご注意 帰化申請では、帰化申請の条件をひとつひとつ判断していくのではなく「総合判断」がなされます。他の条件の状況やその人の環境によっては、条件は厳しくなります。ひとつの条件だけで判断できませんし、判断しても全く意味のないことです。
国籍法第５条１項６号
第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊する事を企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
思想要件(帰化申請の条件)の解説
思想条件で不許可になる方は素行条件などと比べれば少ないものの、不許可事由に該当した場合、かなり深刻な状況となり長い期間帰化申請ができなくなるので注意が必要です。
「思想条件」とは
日本の政府を暴力で破壊することを企てたり，主張するような者，あるいはそのような団体を結成したり，加入しているような者は帰化が許可されません
最近は法務省自体がサイトで「憲法遵守条件」と名付けて説明するようになったので、新しく行政書士になってﾎｰﾑﾍﾟｰｼﾞを作られた方などでは、そう呼ばれることも多くなりましたが、不許可となる者の範囲や期間のことも勘案するならば素行要件と一線を画す必要もあり、今でも法務局との折衝においては「思想」要件で話した方が分かりやすい気がします。不法行為の範疇では説明がつかず、文字通り「思想」でないとつじつまが合わない内容が多分に含まれるからです。
日本国憲法施行の日は
日本国憲法は昭和21年10月29日に天皇陛下の裁可があり、11月3日「日本国」憲法として交付され、翌年5月3日に施行されました。施行までは大日本国憲法の下に日本国民は暮らしていました。
ですから日本国憲法施行の日とは昭和22年5月3日です。
「暴力で破壊する事を企て・・・政党その他の団体」とは
暴力団だけでなく、傾倒する思想について暴力を含む過度の行動によって社会に対して主張を行なう組織と深い関わりがあることは「思想条件上」不許可となります。
また、日本政府に対して過度の主張を行い、日本人の主権をおびやかすような外国人団体において、中枢となるような地位にある者も帰化申請はできません。
日本国憲法施行の日以降において、という言葉の重要性
わざわざ「日本国憲法施行の日以降において」という言葉があることは注視しておかないといけません。
ひとつには太平洋戦争中までの日本国政府との戦いについては不問とするという意味です。そのように考えないと交戦した国と関係する組織に属する人は全員帰化ができないからです。
もうひとつの重要なことは、昭和22年5月3日以降に日本国政府と暴力で争うことを企てたり主張した者も、企てたり主張したりする団体を結成した者も、「過去に企てたり主張した団体」に加入したことのある者は、帰化が許可されないということです。
これは、例えば現在は順法の団体・組織であったとしても現憲政以降に該当したことのある組織は全て含まれるということです。
思想条件上の補足事項
「素行」でなく「思想」であること
思想条件の不許可原因に該当した場合には、「素行」条件であれば真面目な暮らしを続ける事で申請ができるようになることを期待できるのですが、「思想」が変わるためには相当期間を要するものと日本国は考えています。
また、ほんとうに「思想」が変わったことを証明できないといけません。素行は外形的な部分を証明して行けば良いわけですが、心の中の思想を明確に証明することは至難の業です。
さらには申請当事者だけでなく、思想的に影響を受けるような生活的距離に該当者が存在する場合にも、大きな障壁となるために厄介なのです。
思想条件で不許可となる申請者の範囲
思想条件上、不適格とされるような団体に、自ら加入している者はもちろんのこと、親族や職場関係などを通じて密接な関係にある範囲の人間に、団体の構成員が存在することは、帰化申請には深刻な影響を与えます。
隠してもわかる
思想条件に関する調査は法務局が慎重に身辺調査を行いますので、隠してもわかりますし、隠した事がさらに将来の申請に影響を与えます。
隠す事はできません。
思想条件についてのご相談
次のような方は、思想条件上、不許可となる可能性があります。どうしても申請したい方は、法務局に行く前に相談会に参加された方が有利だと存じます。もちろん、程度によっては絶対に申請できません
- 暴力による破壊活動組織と思われる団体に所属する者が身近に居る
- 外国人団体の役員をしている者が身近に居る
- 親族や、仕事関係など身近な関係の方に暴力団関係者がいる(申請できません)
もちろん、自分自身が該当する場合には、もっと深刻です。
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