面接後、帰化許可までの流れ

帰化許可申請の長い道のりの後、帰化条件を満たしており、身分関係上の問題点もなければ、めでたく帰化の許可となります。このページでは、帰化申請の許可について、ご説明しています。

法務省への書類送付

帰化面接や家庭訪問などが無事に終わり、担当者が全ての帰化条件を満たしていると判断すれば、法務省に「帰化許可申請書」一式が送られます。面接時や面接後に、追加の書類を指示された場合は、原則はそれらの書類が提出されるまでは送ってもらえません。

法務省に送られたかどうかは特に教えてもらえませんが、帰化申請の取下げを指示されず、また追加書類の提出も終わっていれば、送付してもらえたと考えていいでしょう。

法務省に送られた後も、身分関係の異動や交通違反・事故などの素行上の問題行為、転職や退職、海外渡航前・後の報告などは、絶対に怠ってはいけません。せっかく行政書士に依頼して申請したのに、帰化許可申請後のアドバイスが不十分で不許可になり、当センターへ再申請の相談に来られる案件がたまにあります。

同じ行政書士の方からも「依頼者が違反をしたのですがバレますか?」などと相談してこられる場合がありますが、いつも「バレないのであれば報告するつもりがないという考え方自体、あなたもお客さんも反省してください。」と申しております。バレるかバレないかということに対する単刀直入な答えは「バレる」です。全てわかるシステムになっていますのでバレないことはありません。ちゃんと報告すれば、不許可を免れる可能性も、少しは残っています。真面目に担当者へ報告してください。

法務省での帰化許可に対する再審査

法務省では、全国の法務局から送られてきた書類を、あらためて審査いたします。

過去の素行などについては、法務省による非常に綿密な独自調査がなされ、法務局レベルでは発見できなかった不法行為などが見つかる場合もあります。

不見当であった身分関係書類などについて法務省の調査で発見された時などは、法務局の担当者を通じて再検索を求められることもありますので、そのような場合には速やかに指示に従ってください。

問題点があった場合、法務省に送られてからはもう対処のしようがありません。行政書士に依頼された場合には申請受付までに様々な対処をあらかじめ行うわけですが、受付後でも面接までの間であればまだ何らかの対応をすることができる場合がありますが、面接が終わって法務省に送付されてからはもう手遅れです。

なんの前触れもなく(実際には面接の前後に予兆がある場合が多いのですが、一般の方は気付かれないことがほとんどですので、そのように感じられます)、いきなり不許可の通知がなされます。

帰化申請の許可

許可の決裁

 法務省の審査においても、

  • ①全ての条件を満たしており、
  • ②日本に帰化した後の戸籍を作成するための全ての証拠書類が揃っており、
  • ③日本人となるのにふさわしい人であると判断されれば、

法務大臣が帰化の許可を決裁します。

官報告示

法務大臣により帰化が許可されれば、官報に告示されます。この官報告示の「日」から帰化の効力を生じ日本国籍を取得します。

帰化者の身分証明書の交付

法務局によっては、担当者が官報をチェックして比較的早めに知らせてくれることもありますが、この時点では交付される書類等の準備は整っていません。普通は、官報告示からしばらくの日数を経て、書類の準備が整ってから、法務局の担当者を通じて、申請者本人に通知がされます。

通知後、申請者本人自身が法務局に出頭し、帰化者の身分証明書が交付され、その後の届出に関する書類を渡されます。

身分証明書は、その後の日本人としての戸籍を編製するための指示が書かれた非常に大事な書類であるとともに、戸籍が出来上がるまでの間、もとの外国籍を喪失した一方で日本の戸籍を持っていない日本人である自分自身の立場を証明できる唯一の書類です。

帰化許可申請の不許可

不許可の通知

いったん法務省に申請書類が送られた後で、法務大臣が許可をすることが適切でない、と判断すれば不許可となり、申請者はその旨の通知を受け取ることになります。

どうせ不許可の通知が来るなら早く知らせて欲しいところですが、大低の場合、「許可の通知が思っていた期間をすぎても、なかなか来ない」とさんざん待たされた後に不許可となることが多いようです。

許可の連絡がなかなか無いのは、不許可の前触れであることも多いのです。これは(取り下げでなく)不許可となる案件というのは「虚偽申請」が理由となることが多く、虚偽申請をした悪質な申請者へのペナルティと考えて良いでしょう。いずれにしても虚偽申請は本人が悪いので救いようがありません。

帰化申請の不許可については、詳細な理由は教えてもらえないのが原則です。

もともと法務局での審査において、帰化条件に対する明確な不適合事由が発見されていれば、法務省に送られる前に取り下げを指示されているはずですから、法務省に送られてから不許可になるというのは、取り下げの指示を押し切って法務省に送付したか、法務局に対して大きな隠し事があったかのどちらかしかありえません。どちらにいたしましても、申請者自身が一番良く知っているはずなので、わざわざ不許可理由を開示されなくて当然といえば当然なことです。

インターネット上でのいい加減な情報では「不許可の理由を知りたければ不許可通知を読めば良い」とか「法務局の担当者に理由をよく聞けばよい」などと、素人の方の想像や経験のない事務所などによる誤報が氾濫しています。「漠然とした理由しか記載されていない」などと書いてあるサイトもありますが「漠然とさえ」書いていません。これらは全て、多分、入管の不許可通知やその後の流れなどから想像を膨らませているのでしょう。

通知には不許可理由については触れられていませんし、法務局職員も教えない決まりとなっています。だいいち、帰化の不許可は原則、面接の連絡のように担当者から通知があるものではありません。

帰化申請時にすでにわかっていた不許可の理由であることもありますし、帰化許可申請後の転職、交通違反・事故、海外渡航、また、それらの報告義務の懈怠が不許可理由となる場合も多いです。

不許可の理由は、すべて申請者の胸の内にあるのです。

不許可の際にできること

帰化申請の不許可は行政処分に該当しますので、取消訴訟を提起すること自体は法律で認められています。

しかしながら、非常に多くの帰化申請を手掛けてきた当センターの経験から申し上げますと、訴訟に勝てる見込みは皆無といってよいでしょうし、実際、帰化での取消訴訟が認められた事例はありません。

これはすなわち、日本国民の主権を守るために、諸般の事情を総合的に考慮して決することができる広範な裁量権を、国籍法により法務大臣に対して与えているからなのです。

帰化実務上から考えると、不許可の際にできることは、まず自分自身が思い当たる不許可理由を明確に廃除し、それが素行上の理由であったなら、みそぎを済ませるのに十分な時間をおき、また、その期間はこれまで以上に姿勢を正して社会貢献に精を出した上での、再申請を試みるより他ありません。

しかしながら、不許可となる案件というのは、帰化条件を満たさず初めから受け付けられなかった案件よりも、さらに順法精神上の瑕疵に対する本人への帰責性が高い場合が多いですので、「過去に、普通に申請をあきらめた方の再申請」より、もっと困難なものとなることは間違いありません。

帰化申請の経験があまりない事務所さんの中には、法的な理屈のみから「簡単に」再チャレンジできるような書き方をされているサイトを多く見かけます。申請支援センターではリカバリー案件(いちど不許可になった案件の再申請)も手掛けてきておりますが、実務上はそんなに甘いものではありません。十分に時間も掛けた非常に周到な用意と申請者自身の考え方・姿勢の見直しなど、本人も行政書士も大変な労力がかかる上に、許可される保証のない苛酷な申請となります。

ですから、申請支援センターでは、誠に僭越ではありますが、初回相談においてかなり厳密に聴取を行なっております。優しくお聞きはしますが、チェックは法務局での事前相談よりもさらに厳しいです。

帰化申請は、いちどで、通しましょう。

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帰化申請や相続手続きの専門家ですから、もちろん大阪法務局の隣に事務所があります(追記:令和5年1月16日に大阪法務局は5分ほど先の大手前合同庁舎に移転しましたので正しくは旧大阪法務局の隣です)。

本当の専門家の事務所はいずれも法務局の近くに集まって切磋琢磨しています。谷四からはビザで入管に行くのも中央線一本です。

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