帰化後の氏名

 帰化後に使用できる日本人としての氏名について、このページで解説しております。

 平成24年7月9日(ナナテンゼロキュウ)の在留制度改正にともない帰化申請の基準が変更された後の、最新の「帰化後の氏名」についての最新の取り扱いをご説明しています。

帰化後の氏名はいつ決めなければならないか?

帰化後の氏名は帰化の受付までに決めなければなりません

 帰化後の氏名をいつ決めなければいけないかというのは、これまでも、これからも、「帰化申請の受付時」までに決める必要があります。

 帰化申請書に「帰化後の本籍地」とともに、「帰化後の氏名」を記載するからです。

 帰化が許可になった後に氏名を変更することは、かなり難しいことです。まず不可能、というくらいの気持ちで考えておいて下さい。裁判により名前を変更する方法自体はありますが、親から無理やり押し付けられた名前でもなく、帰化の際に「自分の意思で決めた氏名」である限りは、裁判所が認める理由に乏しいからです。氏の変更はさらに難しいことです。

 

平成24年7月9日までの帰化後の氏名の取り扱い

平成24年7月9日までの帰化後の氏名

 これまで、帰化後の氏名については、とくに「氏(うじ)」と「名(な)」に分けることなく、同じように取り扱われてきました。

 そして、従来の「帰化許可申請のてびき」においては、「帰化後の氏名は,原則として常用漢字表,戸籍法施行規則別表第二に掲げる漢字及びひらがな又はカタカナ以外は使用できません。」と表記されていました。

 実際には、「これらの文字以外が使用できない」というのはあくまでも「原則」であって、いわゆる「在日」と呼ばれる特別永住者の韓国人の中には、従前より幾つかの条件を満たすことができれば「澤」「濱」「渕」などの文字も使用することが可能な方がいました。

 ただ、中国などから人生の途中で日本に来た方の多く(それでも、さらに厳密に言うと全員というわけではありませんが)は、原則通りの文字しか使用することはできませんでした。

 

平成24年7月9日以降の帰化後の氏名の取り扱い

今後は「氏」と「名」で取り扱いが変わります

 平成24年7月9日からの新しい在留制度にともない帰化申請の審査基準が変更(厳格化)となり、帰化申請の必要書類も変更(増加)になるとともに、帰化後の氏名についての取り扱いが変わりました。

 新しい「帰化許可申請のてびき」においては、「帰化後の"名"は,原則として常用漢字表,戸籍法施行規則別表第二に掲げる漢字及びひらがな又はカタカナ以外は使用できません。 なお、帰化後の"氏"については,その他の正しい日本文字も使用することができます。」という表記に変更されました。

 今回の改正は、帰化申請の審査基準の厳格化及び帰化申請添付書類の増加などにみられるように、帰化の許可や手間はこれまでと比べて「難しく」なった一方で、帰化が許可される人については氏名選択の少々の自由化という「緩和」がなされたといえるでしょう。

 以下、「氏(うじ)」と「名(な)」に分けて、帰化後に使用できる文字をまとめておきます。

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帰化後の氏に使える文字

  • 常用漢字

 平成22年11月30日に告示された「常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)」に掲げられた2136字の漢字。

  • 戸籍法施行規則別表第二の一に掲げる文字

 俗に人名用漢字と呼ばれることもあります。

 この人名用漢字と常用漢字を合わせて、「子の名に使える漢字」といいます。

  • ひらがな

 漢字以外でも、ひらがなは戸籍法施行規則第60条第3号にて子の名として使用を許されています。但し、変体がなは使えません。

  • カタカナ

 カタカナも、漢字ではありませんが、ひらがなと同様に戸籍法施行規則第60条第3号にて使用を許されています。

  • 長音符

 「じょーじ」「バース」などのように「かな」と一緒に使われる、音を延ばすための文字。

  • 踊り字

 「佐々木」の「々」や、「みすゞ」の「ゞ」など、繰返しを表す符号。

  • 康熙字典体又は漢和字典において「正字」とされた文字

漢和字典やそれらが準拠する「いわゆる」康熙字典体において「正字」や「本字」とされた文字。

  • 「隆の旧字」「慨の旧字」「概の旧字」「免の旧字」

 当用漢字表(昭和21年内閣告示第32号)の字体のうち、常用漢字表においては括弧に入れて添えられなかった従前正字として取り扱われてきた文字です。

  • 国字で上記までに準ずる字体

 国字は日本独自の字体ですから、原則はもともと「いわゆる」康熙字典体中には存在しないため。

  • 第5200号通達別表に掲げる字体

 正しくは、平成16年9月27日付法務省民一第2665号,平成22年11月30日付法務省民一第2903号民事局長通達により改正された平成2年10月20日付法務省民二第5200号民事局長通達「氏又は名の記載に用いる文字の取り扱いに関する通達等の整理について」別表に掲げる字体。

 「誤字俗字・正字一覧表」により、正字と誤字俗字の区別をしたもの。

  • 第5202号通知別表の「正字」欄に掲げる字体

 平成16年9月27日付法務省民一第2666号,平成22年11月30日付法務省民一第2913号民事局第一課長依命通知により改正された平成2年10月20日付民事局第二課長依命通知「氏又は名の記載に用いる文字の取り扱いに関する通達等の整理について(依命通知)」における内容。

 

帰化後の名に使える文字

  • 常用漢字
  • 戸籍法施行規則別表第二の一に掲げる文字
  • ひらがな
  • カタカナ
  • 長音符
  • 踊り字

 ※なお、「名」に使える上記の文字以外で、慣れ親しんだ名前だからという理由などで、どうしてもあきらめきれない場合には、ASC申請支援センターにご依頼されるとうまく行くこともあります。この件に関する相談は、非常に微妙な条件を重ねてクリアしなければならないため、全て有料の「面談」相談しか一切受け付けません。相談の結果、条件をクリアできそうになくても有料となります。

 <POINT>

 つまるところ、今回の変更は平成20年12月18日民一第3302号通達「国籍法及び国籍法施行規則の一部改正に伴う戸籍事務の取扱いについて」の中で国籍法第3条の届出により日本国籍を取得した者の国籍取得後の「氏」と「名」について定められた規定を国籍法第5条である帰化申請により日本国籍を取得した者に取り扱いを広げたものと考えられます。

 さらに言うならば、「日本人の」氏又は名の記載に用いる文字の取り扱いに準拠しただけのことです。

 これらの「氏」「名」に関する取り扱いは、もともと日本人だった人との平等性を確保するために、「日本の国」が外国籍から日本人になられる方の幸せのために話し合い決めたものです。なんと優しい国民性であることでしょう!

 「氏」については、もともと日本人であった人の中には、戸籍の編製や改製あるいは改正などの際に誤字などとして強制的にあらためさせられなかった限りは、古い戸籍の時代から使われていた文字を持った人がわずかに居るわけであり、3条届出や帰化申請によって新たに日本国籍を得る人にも、同様のチャンスを与えようということです。

 一方で、「名」については、現在生存している日本国民のほとんどが、日本の「名付け」のルールに従って名を得てきたわけですから、やはり新たに国籍を取得する人にも同じルールで名前を付けてもらわなければならないということです。だから、日本人と同様に、子の名に使える文字しか使えないのはあたりまえのことでしょう。

 ただ、「氏」については、もともと日本人だった人と、これまでに既に日本人になった人には、今後「新しく」氏の文字を変更できる可能性は低く、わずかに裁判による氏の変更を試みる機会があるだけであることを考えると、もともとの日本人よりも、少し今後の帰化者や3条届出者の方が優遇されるようになった感があります。

 それほど、優しい、あるいは、人のよい、国なのです、日本は。

  

<行政書士事務所ASC申請支援センターの帰化申請相談会について>

帰化申請や国際結婚の際などの在留資格認定についてご相談は一生に関わる重大事ですので「面談にてのみ」相談を受けております。

とくにASC申請支援センターからの申請をされる予定の方については、毎週土曜日の相談会に参加することができます。

毎週、午後1時、2時、3時、4時の四組のみですので、必ず電話予約の上、ご参加ください。

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