性同一性障害の方の帰化申請その7

 養子縁組は法律上の嫡出関係を構築できる大事な制度です。(婚姻関係にある夫婦の実子である)嫡出子とは縁組できませんが、嫡出子でない実子と縁組することもあるわけです。自分の産んだ子だと言ってやりたいという親心もわかりますが、養子だと言われるのがかわいそうという考え方も、養子を差別した考え方といえないこともないかもしれません。
 帰化申請により普通の日本人となり、性別変更によって普通の男性となるように、養子縁組によって普通の嫡出子になるのです。過程は気にせず結果を大事に思えばよいのではないかという考え方の選択肢もあって良いでしょう。正しい考えとも、押しつけるわけでもありません。性別変更を経ることなく初めから男性に生まれたかったと言われれば気持ちもわかります。要は選択肢の話です。
 嫡出子届出が願いどおり受付てもらえなかった時でも、幸せな気持ちをキープできればいいなと願います。

 嫡出子出生届の一番の問題点は養子縁組届をする機会を失ってしまうところにあります。

 嫡出ではない実子を養子にすることは可能です。
 養子縁組により嫡出子となることにより他の嫡出子の半分であったものが同等の相続分を得ることができるようになり縁組することの利益があるからです。

 しかし、嫡出子は養子にすることはできません。
 養子縁組することの利益が何もないからです。

 ところが、被相続人の死亡後に親子関係不存在確認の訴えが受け入れられてしまうと、相続人の身分を失い、死亡後ですから、今さら養子縁組をしたくてもできないというジレンマにおちいるのです。

 ですから、もしも、嫡出子出生届出が認められることになったとしても、「現時点での」法的取扱いの中では、実際に嫡出子出生届出をするべきではありません。

 心の中の思いは残っても、相続実務上は、養子縁組届出をすべきです。
 養子縁組届出であれば、将来的に子供に親を選ぶ権利を残すこともできます。

性同一性障害の方の帰化申請その1
性同一性障害の方の帰化申請その2
性同一性障害の方の帰化申請その3
性同一性障害の方の帰化申請その4
性同一性障害の方の帰化申請その5
性同一性障害の方の帰化申請その6
性同一性障害の方の帰化申請その7
性同一性障害の方の帰化申請その8
性同一性障害の方の帰化申請その9

 

 

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」