平成24年7月9日以降の外国人登録法廃止後は、市区町村において外国人登録の管理をする根拠がなくなり、全ての外国人登録原票が閉鎖され法務省に送られます。
帰化申請やその他の手続きで、過去の姓名(国によっては氏名)、通称名や生年月日などの訂正の記録や、過去の家族事項(正しくは、世帯構成員と世帯構成員以外の父母配偶者事項。大昔における家族事項)などの記録が必要となった際には、個人情報保護法に基づいて、法務省入国管理局本局に開示請求をする以外には、現行法上、手段が無くなります。
ところが、この開示請求というものは非常に大変なもので、帰化申請などで求められた際には、一般の人が行うのは難しく、さらに長い時間が掛かるものです。
これが以前より、帰化申請の書類収集が平成24年7月以降は大変なものとなりますと告知してきた理由のひとつです。
必ずしも全ての申請者において閉鎖原票記載事項証明書の提出が義務付けられるとは限らず外国人住民票で代替できる可能性も残ってはいるのですが、申請者の環境や事情により、必要となるケースは非常に多く出てくること間違いありません。5月に入ったばかりの現時点では完全に確実な情報はありませんから、もちろん、帰化申請者全員に義務付けられる可能性もまだ残っています。
ただ、私自身は6条の関係上、ニューカマーの住所条件に関する問題が残りますので、外国人登録原票記載事項証明書について、閉鎖原票もしくは出入国歴の開示請求を要求される可能性があると考えていますので、特別永住者(正確には特別永住者ではなく本邦で生まれた方)については比較的寛容な扱いとなることを推測しており望んでいます。
というのも、6条関係の外国人については、これまで当事務所は法務局に指示されるまでもなく、外国人登録原票記録事項証明書に「10年間」の居住歴の記載を求め、また、履歴書その2にも「10年間」の渡航歴を記載してきたからです。実は、ずっと自主的に行ってきたもので、「5年間」で提出したら、6条を使う際に、あらためて「10年間」を求められるのかどうかさえ、知らないくらいです(笑)。
話を戻して、法務省入国管理局に開示請求を行う場合においての現状は、市区町村の外国人登録課が代行して「手際良く」開示請求をしてくれている現在でさえ、最低3週間~2ヶ月程度掛かり、長い時は3ヶ月程度無しのつぶてとなることさえある状況です。
さらに、「現在の」原票については市区町村で保管されているわけであり法務省の手をわずらわせることなく即時発行されており、現時点での閉鎖原票と書換前原票のみが開示請求されていたものが、今後は、全ての現行の原票が閉鎖原票となり開示請求を経なければならないことを考えるなら、法務省に全国からの開示請求が押し寄せる事は自明であり、現況の3週間から2ヶ月程度というような生易しい期間で対応できるものではなくなることが予想されます。
姫路市などは、このことを事前に予想して、(もちろん帰化申請を想定しているわけではないでしょうけれど)外国人住民の便宜のために個人情報保護法上の例外規定として、今後も市役所権限で外国人登録原票に記載されていた事項の管理を行うことを検討されているようです。これは、市役所(つまり市長)として非常に賢明な仕事ぶりだと評価に値します。
ちょうど、外国人住民の仮住民票上の基準日であった5月7日も過ぎたことですので、昨日、大阪市内の比較的外国人の手続きが多く外国人登録課が手慣れていらっしゃる区役所で、大阪でも同じような動きが出ていないか確認してみましたが、答えはNOでした。
やはり、平成24年7月9日以降は、自分で開示請求を行わなければならないのです。
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参考リンク:帰化申請必要書類(添付書類)
提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」