日本国と他国との二重国籍の状況にある方は帰化申請の必要がありません。
既に日本の国籍を持っているからです。
帰化申請は、日本国籍を持たない人が行う申請です。
二重国籍であるかどうかは、他国と日本国、それぞれの国の国籍法とそれぞれの国の渉外法の適用法(日本においては「法の適用に関する通則法。旧、法例」)に定められた国籍取得のルールに従って変わってきます。
国籍取得のルールは大抵の場合には本人が生まれた時点でのルールが適用されますので、生まれた時点での法律の規定がどうであったのかを知る必要があります。
とくに、日本も含めて各国の「国籍法」は、国際情勢の中で何度も改正されている法律ですから、帰化申請を行う行政書士は、現在の法律だけでなく、日本と相手国それぞれの国籍法改正の推移を正確に理解している必要があります。相談者の国籍の状況も正確に判断できずに帰化申請などやっちゃだめです。
例えば、相手国が韓国であり、父が日本人、母が韓国人というケースであった場合、平成10年生まれの子供は日本と韓国の二重国籍を持って生まれてきますが、平成2年生まれの子供では日本国のみの単独国籍となります。
また、年代だけでなくシチュエーションによっても相違があり、父が韓国人、母が日本人というケースであった場合には、平成10年生まれの子供も平成2年生まれの子供も日本と韓国の二重国籍の状況となりますが、昭和57年生まれの子供は韓国籍のみの単独戸籍です(経過措置により例外あり)。
さらに親の日韓での婚姻・離婚の届出(申告)の状況、認知の有無と、それらに関する両国の法律の「推移」を帰化申請などの受任前に考えておかなければ後で大変な事になるので、帰化申請の初回面談というのは非常な心労がともないます。せっかく帰化が許可になっても、その後に、時限爆弾を抱えているのは心が落ち着かないことでしょう。
将来、帰化申請を業務の一つに加えたいと考えている行政書士の方は、必ず、外国と日本の国籍法を日本でいう江戸時代頃まで遡って(とくに韓国・中国・台湾法については)勉強をしてから仕事を始めないと、国内外の戸籍法について不勉強であった場合、外国の財産法について不勉強であった場合に次いで、とんでもないことになります。
参考リンク:
認知された子の国籍取得の届出
提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」