在留制度変更後は、韓国人の通称名が使えなくなるので帰化申請をしたい?

 在留カードや特別永住者証明書が交付され新しい在留制度が始まった後は韓国人の通称名が使えなくなる、という噂が結構広まっているようです。帰化申請の相談をされる方からこのところ、しばしば聞くようになりました。

 今日も帰化申請の相談に見えられた方から、平成24年7月以降の在留制度改正後は、在日韓国人の通称名が使えなくなり本名で生きていかなければならないので、帰化申請をしたいというご依頼がありました。既に、帰化申請の動機にさえなっているようです。

 帰化申請の相談に見えられた方からよくよく聞いてみると、どうやらこの韓国人の通称名が使えなくなるという噂の元は、ちょうど今、外国人の方それぞれに送られてきている、特別永住者証や在留カードへの切り替え手続きについてのパンフレットにあるようです。

 というのも、特別永住者証明書パンフレットにも、在留カードパンフレットの中にも、よくある質問(FAQ)の欄があり、その答えに「通称名については,旧外国人登録証明書に通称名を併記していたのと異なり,特別永住者証明書には記載されません。」という一文があるからです。

 つまり、これまでの外国人登録証明書(外登カード)に記載されていた通称名は、今後の特別永住者証等には、一切記載されなくなることから、通称名は今後一切使えなくなるという事が言われるようになっているようです。

 しかし、通称名が使えなくなると沢山の在日韓国人の方が非常に困ることになりますので、通称名が使えなくなるというようなことはまず考えられません
 今日も依頼者の方に、もし本当に通称名が使えなくなれば、帰化申請の専門家が儲かって仕方ないじゃないですか!と、笑い話というか、無駄口をたたいておりました。

 ただ、法務省が書いている「通称名については,新制度における住民票で扱われることになるものと承知しています。」という言葉は、今後、通称名については、法務省の管轄からは離れるので、うちは知りません、総務省に聞いて下さい、というはっきりとした意思が組み取れます。

 また、将来的な議論の中での通称名の存続は不安定な要素もあります。一般の日本人の多くは特別永住者の歴史や苦悩などはほとんど知りませんし、通称名が本名と同じように登録されている現状や、通称名という制度自体の存在さえほとんどの日本人は知りません。一方で、当の日本人自身は「ふたつ名」を厳禁されており、氏や名前の字体をほんの少し変えるだけでも裁判所の許可が必要であるという「氏名に関する厳格なルール」の中で日本人社会は成り立っています。日本人自身がふたつ名を使うと「偽名」になるわけです。これらを考え合わせると、外国人であることを隠して生活される外国人の方の通称名という制度を多くの日本人が知ることになれば、通称名廃止の大きな世論となりかねない現状で、遠い将来の中で通称名の廃止がなされる可能性も完全に否定できるものでもありません。

 しかしながら、まずは現在のところ、今回の在留制度改訂の中では、通称名は総務省管轄の中で「存続するもの」と考えるべきものと存じます。

 それよりも、外国人登録制度がなくなってしまうことの帰化申請への影響の方がよっぽど大変なことです。

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参考リンク:在日韓国人の帰化申請

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」