7月9日以降は引越を繰り返すと帰化申請が大変になる

 外国人登録法が廃止され、外国人登録原票記載事項証明書が原則(姫路市など除く)市区町村で交付されないようになってから2週間ほどが経ち、外国人住民票とともに帰化申請の際に提出しなければならなくなった閉鎖及び書替前外国人登録原票の写しを、既に8件12人分法務大臣へ開示請求しました。

 この法務省が管理する個人情報の開示請求にあたっては日本人も外国人も住民票の写しを添付するのですが、「住民票の写し」という点から帰化申請に必要な事項について少し書いておきたいと存じます。

 特に帰化申請に関わらず、住民票の写しの一番大きな役割は、「住所を証する書面」であるということです。 帰化申請において「住所」は、住所条件のみならず、生計条件や素行条件にも密接に関係してくるアイテムですので、帰化申請者本人については最低でも5年内、ナナテンゼロキュウ以降については日本人である配偶者について婚姻期間中の住所を証明しなければなりません。

 日本人の場合には管轄する市区町村に引越してきた日が同居しだした日と同時あるいは同居しだした日よりも後であれば、婚姻期間中の全ての居住歴は転居が多すぎて住民票が改製されたようなことがない限りは、現在の住民票の写しのみで帰化申請に必要な期間の証明は間に合います。
 また、婚姻期間中に現在の管轄行政区域に転居してきていたり、管轄行政区域内で頻繁に引越しをしていて、現在の住民票だけでは居住歴の証明を十分に満たせない場合でも、日本人の場合には、戸籍の附票を取得するだけで良いわけですから、戸籍を動かしていない限りは比較的楽に居住歴を証明することができます。(但し、転籍をしてしまうと、5年以上前の附票は原則廃棄され、証明できなくなりますので注意。)

 しかし、外国人の場合には、まず、住民となった日付も住定日も平成24年7月9日となっており、さらに住民となった日(ナナテンゼロキュウ)以前の異動前住所も空欄となる取扱いですので、それ以前については前述の閉鎖等の外国人登録原票を開示請求しなければなりません。これはどうせ仕方ないことなのであきらめるしかないのですが、今日お話したいのは、ナナテンゼロキュウ以降の転居についてです。

 最小行政単位内でのお引越しであれば、頻繁に(市区町村によって異なりますが3~5回以上)転居していない限りは現在の住民票のみで法定期間内の居住歴を証明することが可能なのですが、市区町村を越える引越しをされた場合には、少し厄介です。

 というのも、外国人は日本人のように(日本国内に)戸籍を持っていませんから、帰化申請で居住歴を証明しようと思っても「本籍地に戸籍の附票を請求すればOK」といった簡単なもので済まないからです。
 もちろん、法務省から交付された閉鎖外国人登録原票の写しにもナナテンゼロキュウ後の居住歴が記載されているはずもありません。

 外国人の際には、市区町村を越えた引越しの度に除かれる住民票をひとつずつ集めていかなければならないわけです。
 一度の引越し程度であればたいした手間でもありませんが、やはり遠方で数度となると取得も大変になってきますし、前の住所を正確に覚えていなければ、一度に請求することはできないですから、順番に遡っていることで帰化申請がどんどん遅れて行くことになります。

 さらに、もっと問題なのは、住民票の徐票の保存期間は原則5年間ですので、長い期間の証明は難しくなって来ることです。法定期間のみならず、住所の履歴は様々な生活の記録の疎名資料として帰化申請の際に有利な事柄を主張するのに使用することが多々あるのですが、帰化申請の専門家としては、武器が少なくなる印象があります。

 いずれにしても、帰化申請を考えている方は、今後できるだけ転居は必要最小限に抑えることをおすすめいたします。

 

参考:住所条件・居住要件/帰化申請の条件

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」