閉鎖外国人登録原票により帰化申請の許可率が下がることもあり得る?

 新しい在留制度の帰化申請への影響ネタがここのところ続いていますが、まあ、旬な話題なのでお許し下さい。

 閉鎖外国人登録原票という言葉自体が、帰化申請一覧表に記載されるに至り、あたりまえのように、閉鎖外国人登録原票の写しが添付される時代がやってきたというのは、世の中が変わった感があります。

 というのも、本来、外国人登録原票というもの自体が、一昨日までの外国人に関する管理に関する機密そのものであったので、他の手段がなくどうしてもその開示によってしか証明できない事であり、かつ、開示するにやむを得ない事情があり、かつ、記載された個人情報の開示で困る人がいないであろう、という条件が揃わないと開示しない、いわば役所があまり世の中に出したくない書面だったからです。

 これまでは、例えば、帰化申請において、本国の書類が見当たらないとか無籍だとかの事情があり、さらに、外国人登録原票の情報を唯一の頼りとして、身分関係の認定を願い出るような場合に限られていたわけです。
 また、これまでは、古い情報についても外国人登録原票記載事項証明書に記載することができましたから、例えば、韓国と日本で親の生年月日に齟齬がある程度のことであれば、賢明な外国人登録係であれば、古い外国人登録原票を取り寄せた上で、あくまでも記載事項証明書に記載して、行政証明を発行する取り扱いとしていました。

 ところが、外国人登録法そのものが廃止されたため、外国人登録原票記載事項証明書を交付する為の法的根拠が失われてしまったため、国の機密書類である閉鎖外国人登録原票の写しを、バンバン交付するしか方法がなくなってしまったのです。

 ここで注意しなければならないことがあります。

 一般の申請者にとっては、単純に、「法務局から指示されたから添付する」というだけの感覚であり、ぱっと見ただけでは、内容が理解することができず、「若い頃の写真が載っていて、懐かしい」とかそのようなレベルで眺めるだけだと存じます。また、内容を把握しようとしても、「昭和●●年●月●日、法第●●条の●」とか記載されているだけで何のことやらさっぱりわからないことでしょう。

 しかし、外国人登録原票には細かい素行に関する情報が散りばめられており、これまでは、普通に申請するだけではわからなかったような内容が発覚する場合もあります。過去より法務局には原票の職権請求も持っていましたが、全部が全部の申請で原票を請求していなかった(ことと私は思っています)でしょうから、警察への前歴照会で判明しなかった素行まで、簡単に明らかになってしまうのです。

 これまでは、当方も事情のある案件のみ請求をしていましたので、閉鎖外国人登録原票の写しや書換前外国人登録原票の写しが届いたら、真っ先に、履歴書や当方の詳しい聴取内容と、写しの内容を慎重に見比べて、「いける」と確信してから、書類点検や申請受付に臨んでいました。
 はっきり言って、写しの内容を確認して帰化申請をあきらめた案件や、申請自体のやり方を大きく修正したという案件もございます。

 ところが、これからは一般の申請でも、閉鎖原票の写しがあたりまえに提出される状況となり、経済的に窮していて専門家に依頼する余裕の無い申請者の方は、いわば「丸裸にされた状態」で帰化申請に臨むこととなり、さらに、「自分では丸裸の状況にあることに気がついていない」わけですから、面接や、事前相談、受付などの時についた小さな嘘から大きな傷を広げていかないように、仕事を放っておいてでも、徹底的に注意しなければなりません。

 帰化申請は、今後の一生の申請なのですから。

 

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外国人登録原票を必要とされる帰化申請者その他の方へのお知らせが掲示されました
閉鎖外国人登録原票の開示請求の仕方によっては帰化申請の受付が半年位遅れたり書類不備で受け付けられなくなる

 

参考リンク:帰化申請の素行条件

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」