今年明けの帰化申請から厳しくなった、と申しますか、どどどーっと提出量が増えた韓国戸籍ですが、増えるばかりでなく、緩和された、と申しますか、「知らんぷり」を決め込む扱いとなった部分もあります。
それは、本人自身が嫡出認定を受けられる状況が揃っている場合においての、母の婚前除籍について、厳格に添付を要求されなくなったということです。
これまでは本人を含め兄弟姉妹全員の嫡出性については非常に厳格で、仮にひとつの戸籍で準正の条件が一見整っているように見えても、例えば本当に正当な認知だったのかどうかまでかなり綿密な確認資料を要求されていました。
ところが、今日の時点では、平成27年年初方式韓国資料の中でとりあえず兄弟姉妹全員の嫡出性が表見的に疎明できていれば、それ以上の立証は必要ないという扱いのようです。
その事が判明したのも実は、今年の帰化申請受任ラッシュの中で、翻訳が遅々として進まず、だからと言って依頼者を待たせるわけにもいかないので、絶対的必要書類だけ準備して、申請者の兄姉の嫡出性の「正当性」の立証部分の翻訳は追送で話を付けようと意を決して臨んだところ「(嫡出証明としては)不要です」ということになって、拍子抜けした事が最近あったからです。
思わず、「僕自身は楽になって、今回ホンマに助かりましたが、これは考え方としてはおかしいですよねえ」と苦笑しましたら、相談員さんも「いやあ、センセのおっしゃる通りであると私も思っています」と、新しい韓国戸籍の提出ルールに首をひねっておられました。
まあ、僕としては今の多忙を極める現状で添付書類が減ることは非常に助かるのでそれ以上薮蛇になるような追求はしませんでした。ASC申請支援センターでは、原文や翻訳を提出するしないに関わらずちゃんと戸籍調査を行っているので書類を出さないからと言って心配の必要はありません。
今後の法務省の取り扱いは、表見部分がだいたい合っていたら身分関係の不備は申請者本人に責任を追わせるという意思の表れかもしれません。
これまでは帰化申請の際に法務局が細かく世話を焼いてお小言を言ってくれていましたが、今後は「相続の出来ない戸籍ができても法務局は知りまへん」ということなのでしょう。
相続の際や後日の兄弟姉妹の帰化申請の際に「問題になってから」、結果的に帰化申請報酬の何倍から何十倍ものお金を掛けて「裁判でも何でもしなはれ」ということです。
いずれにしても、今後は自己責任で注意して下さい。