帰化申請の待合室で行政書士浪人について相談をされる

 昨日午後は少し込み入った事情のあった韓国籍特別永住者の方で会社経営者の帰化申請の受付本番がありました。

 大阪法務局での帰化申請の受付では、行政書士が最後の点検を行って、帰化申請者本人と交代するまで、少々の待ち時間があるのですが、まさかの当日補正が入り、補正については追送処理でよかったのですが、簡単な補正だったので待ち時間の間になんとかなるだろうと隣の申請支援センターに帰って補正を行い国籍課の待ち合い室に戻るとまだ受付は始まっていませんでした。大阪法務局横にある行政書士事務所の強みですね。

 時間もあることなので、帰化申請者ご本人と少し世間話を始めました。

 その中で、申請者の方が「知人の市大法学部4回生になる息子が就職活動をせず、卒業後行政書士になる勉強をしたいと言ってるのだが、そのような業界の事がよくわからないので親である知人が悩んでいる。」と話し出されました。
 そのお子さんは、学校を卒業してから受験勉強をするために就職したくないのだと言っているそうなのです。

 キッパリと「普通に就職しなさい。」と申し上げました。

 士業は、さぬきうどん屋を開業して成功させるのと同じで、よほどの運と才能と努力がないと生き続けて行けません。また、インドカレー店を経営するのと同じで、老舗の美味しい店があるのに、どんなに安くしても、自己PRしても、誰ひとりとして、わざわざ新しい店のルーに匙を入れてみたいとは思ってくれません。重要なのは味、実力です。しかし、最初から実力があるはずがないというジレンマが確実に存在します。

 もちろん、努力を続ける事で運も開けて来るのですが、本当に努力する才能を持っている方は一握りです。ほとんどの人は「何を努力すればよいか」さえわからないので努力のしようがないのが現実のところでしょう。
 いずれにしても、来春良い学校を卒業しようという人が人生をかけるにはリスクが大きすぎる存じます。

 また、市大の法学部に在籍している位なら、もう既に行政書士試験に合格しているような人でないと努力をする才能があるとはいえません。義務教育が終った後、すぐに働きに出されても仕方ないところ、親から充分に勉強する為の時間をこれまで貰っていたのですから。

 私も、学生時代は自分の才能の無さに全く気がついておりませんでしたね。
 私の場合は、経済学部を出て、様々な仕事に全て中途半端に音を上げて、人生の途上で早くも捨てるものが何も無くなってから、勉強をし出したので、前途洋々たる若者と事情は違います。
 開業してからがもっと大変で、色々コツコツやっているのに一向に芽が出ず、老後の為の預金も全部使い込んで底を尽き、子供の学費に手を付けようかと悩みだした頃に、ようやく阿弥陀さんが微笑んで下さったのでした。前職での人脈も本当に有りがたいものでした。

 いずれにしても、公立大学卒業を控えた学生が思い付きで選ぶ道ではありません。

 自営業は、1日1日を毎日何をして、どのように毎月の暮らしをする為のお金をどうやって安定して稼ぎ出すのか、「具体的に」決まっていないなら、絶対選んじゃいけない道です。

 サラリーマンも凄い努力が必要ですが、入社してから何をしようか考えるだけの余裕はあります。既に存在する会社に一定のノウハウが有るからです。

 全くの0からの出発はしんどいですよと、法務局待ち合いで懇々とお客さんに説明する私も変な人ですね。