俺の目が黒いうちは帰化申請は許さない

 昨晩は帰化申請ではなく永住申請のご相談で面談に見えられたご家族がありました。

 TVにも何度か出演された事もある、その業界でも実力者の方で、縁有って懇意にさせていただき、お互いに個人的な悩み事や愚痴もお酒の席で言い合えるお付き合いをさせてもらっています。

 主たる相談も終わった後、雑談の中で僕が「将来はお子さんも帰化の道を考えられる事もあるかも知れませんね」と申しましたところ、標記の意味の返事が帰って来ました。
 正確には「ワタシが死んでから、勝手にやってください」と軽く憤慨されました。

 お父さんの気持ちは以前から充分、僕は存じ上げておりました。
 でも、子供さん自身の幸せを考えるなら「選択肢」を増やしておいてあげようと、子供(といっても立派に成人されています)の前で、お父さんが怒ることも知っていてわざと申し上げました。

 お父さんも子供も人生の途中で日本に上陸された方ですが、息子さんは幼少時から日本で暮らしているので、心の中は特別永住者の人々の感情と、つまり、日本人の感情と少しも変わらない事は理解していましたので、遠い将来、お父さんを懐柔される際の助け船を今から出しておいてあげたかったのです。

 普段、商売最優先の浪速商人の僕はお客さんと口論しない事を信条としていますので、相談者の気持ちに気付いたらそれを逆撫でするようなことは決して言わないのですが、「友人の家庭」と考えるとついお節介をしてしまいました。

 「俺の目が黒いうちは・・・」という台詞は、在日の厳格で気難しいお父さんというイメージを思い起こすのですが、このお父さんは普段から優しく冷静に話される、また、宴会等では無類のパフォーマンスを発揮される楽しい方なのですが、国籍に関する想いは誰しも同じなのです。

 僕も、娘がフランス人になりたいとか言い出したら、「俺の目が黒いうちは・・・」と言い出すでしょうね。まあ、最後は許すのだろうけれど、日本人としての人権を全て失う事がどういうことなのかは、必ずきちんと理解させなければなりません。

 韓国人にとっても、日本人にとっても、それだけ国籍は大切なものなのです。

 と、書いているうちに、領事館の順番が回ってきて書類が交付されました。
 
 除籍の中に28ページのものがある( ̄□ ̄;)!!
 ま、珍しい事でもありませんが、残務が山のように積み重なっている今はキツイなあ。