日本国籍の留保と帰化申請

 帰化申請や入管業務を初め外国人業務を取り扱っている行政書士のブログは、本日平成27年3月10日は同じこのテーマの記事で賑わっていることでしょう。

 出生から3ヶ月以内に日本国籍の留保の意思表示を「してもらえなかった」者が出生時に遡って国籍を喪失するという国籍法第12条の規定が憲法違反とは言えない、という最高裁判断が今日なされました。

 「してもらえなかった」と無理やり曲げて書いた通り、生後3ヶ月の乳幼児が意思表示する事はあり得ないので、子供には帰責性の無いことでは有りますが、たとえそうであっても親にはすごく大きな責任が有るので仕方ありません。

 今後その子供が日本国籍を得るためには、届出ではなく帰化申請が必要となります。

 出生時に遡って国籍を喪失するので「日本人だった者」には該当しませんが、親のどちらかが日本人なので8条申請ですね。

 ちょうど明後日、出生時に遡って国籍を喪失し、さらに親が日本人に該当せず8条非該当の方の帰化申請受付を予定していますが、ほんの少しの運命の違いで帰化申請をしなければならないのは本人にとっては苦労であることでしょう。
 しかし、あまりに国籍の取得が安易なものになってしまうと日本国の国民主権が根本から崩れてしまいますので、簡単にヒューマニズムだけで片付けてしまえる話ではありません。

 先日もTVで、国籍について生地主義のアメリカで米国籍を取るために出産を目的として入国をするをする際に観光目的と偽って査証に関する法令違反が横行している事に対して中国政府が政策上意図的に容認しているふしのあることが大きく取り上げられていましたが、ヒューマニズムや法律の抜け穴を「利用」される可能性も大いにあるので、日本人も常に刮目していなければなりません。

 そして、帰化申請の苦労さえなく、当たり前に日本の国民主権を享受できる幸せを再認識するべきでありましょう。