帰化申請等では外国人登録法廃止後も閉鎖原票の記載事項が必要となる場合があります

 外国人登録法が廃止される平成24年7月9日以降も、帰化申請の際などにこのたび閉鎖される外国人登録原票に記載されている事項の証明が必要となる場合は出てまいります。

 例えば、姓名(国によっては氏名)や通称名などの訂正・更正や、生年月日の訂正についての証明が必要となる場合などです。また、帰化申請においては、家族関係についての疎明資料として外国人登録原票や閉鎖原票、書換前原票などに頼らざるを得ないケースというものが日常茶飯事に存在します。

 ところが、現在は外国人登録法により市区町村が主体となって外国人の登録管理を行ってくれていますから、これまで、外国人の方は、非常に効率良く、自分自身の証明や疎明のための資料を集めることができていたのです。それも、本来、証明してくれるべきは自分の母国である外国であるにも関わらず、日本の国や地方自治体が動いてくれていたのです。

 しかしながら、市町村の登録管理からの解放や外国人住民票が発行される事を求めた代償というべきでありましょうか、緻密な管理制度であった外国人登録制度による証明を享受できる利便は失われることになりました。

 姫路市などは、将来の混乱を見越した非常に賢明な動きをしており、独自に現在の外国人登録原票で管理されている情報についての外登法廃止後も取り扱うことができないものか、市の個人情報保護審議会に諮問をし答申を受けています。

 外国人登録法廃止後の問題点が非常にわかりやすいので、当該答申内容の一部を下記に、転記しておきます。

「収集の制限及び目的外利用並びに本人通知の省略に関する意見について(平成24年2月16日付、 姫路市個人情報保護審議会会長答申)中、
適当と認められる理由等 (一部を抜粋引用)」

1 収集制限の例外及び目的外利用の適否について

(2) 外国人住民が出生届や婚姻届等の記載事項証明書を請求される場合、本人や親族等が請求することができます。日本人には戸籍があるため親子関係等の身分事項を確認することができますが、外国人住民には戸籍がなく住民票だけでは確認することができないことが多いため、唯一の確認手段である原票で確認することとなります。また、外国人住民は出生や婚姻の届出時と現在では国籍や氏名等が変更・訂正により異なっている場合があり、それらも確認する必要があるため、原票がなければすぐに交付することができないことが想定されます。そして、確
認のために法務省へ照会することになれば何日もかかり住民生活に支障を来たすことが予想されます。
 また、外登法廃止時の原票に記載されている内容が必要な場合は、法務省に対して、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」に基づき、原票の開示請求を行うこととなりますが、法務省の担当窓口は1箇所のみで回答にも時間を要します。現在、市役所の窓口で即時に交付できるものが、外登法廃止後は最大1ヶ月もかかるとなると(※申請支援センター注釈)、住民生活に大きな支障を来たすこととなり、それを回避するためにも原票と同内容のものを保有しておく必要性があります。

(3) 外登法廃止後は個人情報を収集する法的根拠がなくなりますが、上記(2)の問題を回避するために外国人登録事務で収集した個人情報を事実上、引き続いて保有することが必要であり、このことは、本人収集の原則の例外規定である姫路市個人情報保護条 例第8条第 2項第6号 (以 下「条例」とい う。)の「 公益上必要」の要件を満たしていると解されます。

※引用者注釈:「現行の」外国人登録原票「以外の」閉鎖原票や書換前原票「のみを」市役所外国人登録課が開示請求を行っている現時点であってさえ「最大1ヶ月」ということでなく「3ヶ月以上」掛かった事案もあり、さらに、外国人登録法廃止以降は全国より開示請求が直接に法務省に請求されますので、平成24年7月9日以降は、「最大1ヶ月」というような期間で処理されるかどうかは、非常に疑問があります。

 

参考リンク:帰化申請の必要書類

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」