僕もまだまだだなあ、という話です。
帰化申請を受任した方のお母さんの戸籍を請求いたしました。
戸籍を請求する前に、申請者本人の出生届や早逝した兄弟の死亡届などの記載事項証明書は既に手に入れていたのですが、その中で少し腑に落ちない部分がありました。
というのも、お母さんは日本人なのですが、それらの母の本籍欄において筆頭者がお母さん本人ではなくて、お母さんのお父さん(祖父)の名前になっていたからです。
現在の戸籍法上、外国人と結婚をすれば、既に筆頭者である時を除いては、その時点で親の戸籍から除籍され、婚姻した日本人を筆頭者とした新戸籍が編製されるからです。
本人が筆頭者で無いことで真っ先に心配したのは、父母の正式な婚姻が少なくとも日本にはなされていないのではないか、という懸念を感じたからです。
とくに母親の身分関係において、正式な(生んでくれた)父との婚姻ができなかったことの「原因」によっては、帰化申請上、裁判案件となることがあり、財産の無い家庭では帰化申請自体あきらめざるを得ない事もよくあります。
戸籍届の際に誤って記載されていても、日本人側の戸籍を必ず確認するはずですから、誤記のまま進んでしまう可能性はほとんどありません。うーん、地方の役所だから外国人の婚姻に慣れていなかったんだろうか、などと邪推もしました。
しかし、今日、本籍地から帰って来た戸籍・改製原戸籍とも、確かに外国人との婚姻事項があるにも関わらず帰化申請者の祖父が筆頭者となっていました。
自治体の戸籍課が除籍し忘れたのじゃないの?とか、さらに邪推は深まります。
韓国除籍などでは、もう日常茶飯事にそんなことがあります。
現実に、先週も母の婚姻から47年間除籍し忘れていた韓国除籍の訂正を行ってきたところです。
でも、ここは日本です。どちらか一方が日本人である婚姻については自治体任せにせずに法務局に書類が回りますから必ず確認されているはずなのです。
悩んだら条文にあたれが基本ですから、久々に戸籍六法を開いてみました。
すると、何のことはない、法16条3項は昭和59年新設された条文でした。
父母の婚姻が昭和47年なので至極当然なことでした。
そういえば、非常に悩む事が多い昭和60年以前婚姻の案件で、よく考えたら過去にも祖父の戸籍に母が入っていたものを幾つかあったなあと思い出しました。
その時は、とくに何の疑問も感じずに流してきたわけですから、まあ、瞬間的に「あれっ?」と思えるセンスがその頃と比べて進歩したと言えば進歩したわけですが、結論としては、僕もまだまだだなあと反省する事しきりであります。