帰化申請の受付が延びると色々と気を使います

 今日は神戸地方法務局管轄下のいち支局で帰化申請の受付を済ませて来ました。
 本来は2月の掛かりに書類点検も済ませ2月後半に帰化申請の受付予約を入れていた特別永住者案件でした。

 ところが日程が近づいて来てからご本人が急にインフルエンザに罹患され帰化申請の予約をキャンセルせざるを得なくなりました。
 僕達自営業者であれば回復を待って予約を取り直せば済むハナシですが、サラリーマンの方はやはり上司や職場の顔色も伺わなければならない苦労があります。

 ご本人には3月に元々どうしても休まねばならない予定があり、さらにインフルエンザで休んでしまったため、1ヶ月の間にそうそう何度も休んでいられない、とおっしゃいます。
 僕も過去にサラリーマン暮らしがありましたので、気持ちは良くわかります。勤めた会社は今で言うブラック企業ばかりで自由に有休を消化できる雰囲気の職場はひとつもありませんでした。僕が運悪かったのではなく、日本の世の中の全てがブラック企業でした。その結果、日本経済も発展し良い国になったんだと思います。衆議院議員の私設秘書をしていた時などは有給休暇とか労働者という概念すらありませんでした(笑)。書生として修行をしながら幾らかのお金を貰えているだけでも有り難いと思いなさいという理屈です。でも、自分で選んだ道だからしょうがない。

 サラリーマンにはサラリーマンの事情があるのは良く理解しているので4月まで2ヶ月延ばしにすることを快諾しました。

 でも、本当は2ヶ月延びると色んな書類が取り直しになって経費も人件費もかさむのです。また、一般の方や帰化申請が良くわかっていない行政書士の方は、またそこで書類の取り直しを言われるので、できるだけ帰化の受付を先延ばしにしない方がいいでしょう。

 書類の取り直しなどは、どの書類を何のために添付するのか理解していればいいわけで、問題なく書類を差し替えられるのですが、もっと困るのは法務局側の担当者や相談員の方がせっかく打ち合わせた内容を忘れてしまわれる事がある点です。

 とくに身分関係上の問題点が全て片付いている訳じゃ無いが戸籍作成に直接的な影響を与える訳ではない部分なので、申請者が全ての手段を尽くした事を確認した上で仕方無く受け付けてみましょう、と至った案件などでは、ようやくここまでたどり着いたのに、目をつぶってもらった様々な事項を忘れられると、またいちから折衝したり、場合によっては結論が変わって来ることも無いことはないのです。

 申請者の利に働く事項については、法務局も漠然と記録をとってはくれているのですが一字一句残してくれているわけではないからです。申請者のウィークポイントについては細かくまた長年記録しているのにねえ。

 実際今日も、点検から2ヶ月経過しただけで、身分関係の大事な部分を思い出してもらうまで、再度説明の時間が必要でした。
 こちらとしては、今日受け付けてもらわないといけないので、余裕のある表情を浮かべて冗談など飛ばしながらも、内心はイライラとヒヤヒヤの混じった複雑な心境でした。

 でもまあ、無事に受け付けられて良かったです。