帰化申請許可後の官報告示の住所と方書

 これは帰化申請をすることを考えておられて、かつ、その直前に(婚約者との同棲などで)住民票の転入届を提出する予定があり、さらにマンションやアパートなどの集合住宅が新居となる方の為だけのTIPSです。

 ご存じのとおり、帰化申請では慎重な審査が終了した後に官報告示がなされることで帰化が許可となります。

 この官報告示においては帰化が許可になった方の住所、氏名、生年月日が掲載され、晴れて日本国籍を取得された方を法務大臣が日本国民に対して紹介いたします。

 「今度新しく同じ日本の仲間となられたので、よろしく仲良くしてくださいね。」
 ということでありましょうか。

 韓国籍で特別永住者の方の場合には、ほとんどの方が通称名を持っておられるので、帰化許可されるまでの本名(従前の氏名)を掲載されたところで、周囲にお住いの方にはあまりわからないことであるのですが、住所が掲載されることで特定されてしまう可能性があります。

 この官報に掲載される帰化許可者の住所は、帰化が許可になった時に決めるのではなく、帰化申請を行う際に帰化許可申請書に記載した住所ということになります。
 そして、帰化許可申請書に記載する住所は、帰化申請時に居住地として本邦に登録されている住所である必要があります。
 現在では住民票上の住所であり、平成24年7月9日より前であれば外国人登録原票上の住所ということです。

 一軒家に住まわれている方であれば、住所としての表示はアレンジのしようがありませんが、マンションなどに住まわれている場合の住所の表示には、いくつかのパターンがあります。
 ひとつは、「○○市○○町○丁目○○番○○-○○○○号」といったように、住居表示がなされている地域では最後の号数の後半に「-○○○○号」と組み入れた表記。非常にシンプルです。
 もうひとつは「○○市○○丁目○○番○○号」といったんマンション自体の住居表示を記載した後にあらためて「○○○○マンション○○号室」と記載されている方法。

 「○○○○マンション○○号室」という部分は、「○○様方」という意味に準じて、「方書」と呼ばれます。

 そして、帰化申請が許可になった際の官報告示上の住所には、方書表示がされている場合には方書部分は省略されますが、「○○-○○○○号」と住居表示の「○○番」までの街区に続く番号の中に組み入れている場合や「○○番地○-○○○○号」と地番に組み入れて表示されている場合には方書とは認定されずそのまま官報に表示されます。

 集合住宅には沢山の世帯が住んでいますので、マンションの住所地だけが表示されるのであれば、「住人の誰かが帰化許可になられた」ということしかわかりませんから、住民票上で方書表示をきちんとされている場合の方が特定されたくない方にとっては好都合かもしれません。

 この方書表示の扱いは、各地方自治体(市区町村)毎に取り扱いが違うと聞いていますので、必ずしも希望通りに住民票が作成されるとは限りませんが、新しく新居に移られる予定でその後に帰化申請を予定されている方は、転入届を提出する際に、マンション名を長々と書くのが面倒くさいなどの理由で「○○市○○町○丁目○○番○○-○○○○号」としてしまわずに、「○○市○○町○丁目○○番○○号 ○○○○マンション○○号室」と住居表示上の番号や地番上の地番・支号と分けて届出をしてみることで、住民票にその表記をしてもらえるであろうことをご案内しておきます。

 これは、そうした方が良いとか悪いといった話ではなく、幾つかの選択肢と選択による結果についての情報です。

 私個人的には、官報告示してもらって、堂々と帰化が許可になったことを、世の中の日本人の方に祝福して迎えてもらえればいいんじゃないかと思います。