インドネシア人の方の帰化申請で年金の正しい捉え方に感動

 ほとんど毎日のように帰化申請業務を遂行していく上での愚痴と申しますか嘆きばかり垂れ流し続け、「怒りのブログ」の様相を呈しているこの帰化ブログですが、たまには心が爽やかになるエピソードに出会うこともあります。

 今日は大阪法務局本局民事行政部でインドネシア国籍の方の帰化申請を受け付けてもらいました。その中で、インドネシアの青年が発した言葉に、同感し感動したというお話です。

 最近の帰化条件の変化でもうすでにどなたも知っていることのひとつに、国民年金や厚生年金などの公的年金保険料を支払っていない方は帰化申請ができなくなったことがあります。

 今日帰化申請を受け付けられたばかりのインドネシア人の青年も、年金の支払い義務の事は帰化申請とは関係なく良く理解しておられ、もちろん、渡日してから年金の未払い期間無くきちんと年金を納めて来られました。

 ちゃんと年金を支払われている方の中にも、未納無く支払っているものの、その制度に愚痴をこぼす方が世の中には結構いらっしゃるのですが、このインドネシアの帰化申請者の方は「僕は年金について何ひとつ文句無く、賛同しています。」と爽やかにおっしゃられるのです。

 「僕だけじゃなく、インドネシア人に、年金について文句を言う人はいません。」
と言い切られました。

 詳しくお聞きすると、インドネシアでは父母、祖父母など尊属を敬う気持ちが当たり前のこととして全国的に広く今でも残っており、「現在の若い者」が、「現在の高齢者」に対して、これまで育ててくれたり、もっと言うと、世の中を受け継ぎ進歩させて来てくださった事に感謝して、お礼の気持ちで「現在進行形」で若い世代が高齢世代の生活を支えていく事は言うまでもなく当然のことなのだそうです。

 将来の自分の世代が年金が出ようが出なかろうがそんなことは関係ありません。
 今、世の中のおじいちゃんや、おばあちゃんを、健康に働いている私達が支えてあげることが、恩返しなのです。

 と彼は明るい顔で答えました。

 「いつか、年金制度が破たんして自分達が年金をもらえないかもしれないから、年金を払う意味が無い。」とか、自分勝手で「違法な」理屈を並べている人々に聞かせてあげたい声です。

 先祖をうやまう気持ちは日本にもありました。
 今もあります。

 でも、今日の話を聞いていますと、インドネシアには完敗していることは間違いありません。

 今日受付けられた帰化申請者の方には、必ずや日本人になってもらって、父母を敬う日本をもう一度取り戻したいですね。