過去にオーバーステイとなった人の帰化申請

 過去にオーバーステイで、在留特別許可を受けたり、退去強制や出国命令で国外退去後に再来日した人間の帰化申請は非常に難易度が高くなります。

 まあ、そんなことはわざわざブログの話題として書くまでの事もない常識でありましょうし、過去にそういったオーバーステイ経験のある方は、帰化申請を希望したときに「俺はやばいんだろうなあ」と自覚していることだと存じます。

 しかし、この「難易度が高くなる」と言うのは、巷で言われている「10年経過しないと申請できない」とか「法務局から15年待てと言われた」とか「8年で行けるという噂を聞いた」とか、そういった”待機期間”の話ではありません。
 何年、てな話は、その期間は絶対に帰化が許可にならないというだけで、別に「難易度」が上がったり下がったりするというものではありません。

 「難易度が上がる」という意味は、力のある行政書士なら帰化が許可になるけれど、帰化の初心者に当たると許可にならないということをいいます。
 待機期間の間は誰がやってもダメなのですから「難易度」などという概念は存在しないわけです。

 じゃあ、何故、難易度が上がるかというと、そもそも「オーバーステイとなるような人間は、とんでもない極悪人で、どうしようもない無法者だから」です。

 「そこまで言わなくていいんじゃないの」とか「事情があって仕方がなかった」とか、思うかたも多いでしょう。
 僕もそう思ってあげたい。

 しかし、日本国籍の番人であり、守護者である、法務大臣がそんなゆるい気持ちでは日本国が崩壊してしまいますから、まずは無法者として自ずと審査は厳しくなります。
 その中で「過去形の無法者であった」事を証明できた者のみが帰化を許されるのです。

 そんな中で「事情があって仕方がなかった」と本当に自分で思っている人は、私の経験から申し上げて、残念ながら「現在進行形の無法者」である確率が極めて高いです。交通違反、脱税、違法就労とぼろぼろ出てきます。それも少しずつ小出しにして。
 「仕方なかったんだ」と思って、全く反省してないからです。

 まずは本人の状況を見抜く目と、自分の違法性を自覚させ、生活や考え方を改めさせる力量と、法務局と真摯にかつクレバーに駆け引きできる手腕と経験が必要です。

 「難易度」が高くなることは、間違いない事なのです。

 なお、ご経験の浅い行政書士さんの中には「8年で帰化申請できる」「10年で帰化申請できる」といった間違いを信じて業務を行っておられるところもあるので、惑わされないようになさってください。