リカバリー帰化申請をしに行くのではなくてリカバリーできたから帰化申請の受付に臨むのです

 今日は神奈川の法務局に帰化申請で出張。
 往きの新幹線であいかわらずとん蝶広げています。
 あ。ダイエット中だったのを忘れていました。

 横浜地方法務局管内には国籍業務に携わる法務局が7局有り、そのひとつで午後に帰化申請の受付本番の予約を取っているのです。

 今日の帰化申請はリカバリー申請。

 リカバリー申請と言うのは、自分で帰化申請をされたり、他の行政書士さんに依頼されて不許可になったり取り下げになった帰化申請の再申請の事です。
 帰化の不許可が10年前あたりと比べて極端に増えているせいか、最近、ぽつりぽつりいただきます。

 今日の方は、昨年関東の行政書士に依頼されて申請され取り下げになった案件の再申請です。

 取り下げになった書類のほぼ全部を見せていただきましたが、前回の申請書自体には欠点はありませんでした。
 むしろ、前に頼まれた行政書士さんは心のこもった帰化申請書類を作られ褒めてあげても良いくらいです。
 毎日苦労して帰化申請書類を作っている僕は、ひとめ見ただけで、良い書類かそうでないかは判別できます。

 良い書類とは一生懸命作った書類です。
 心がこもっているかどうかなんて関係有りませんが(笑)、一生懸命作っていることは良い申請書類の必須条件です。
 真面目に勝るものはありません。

 添付されていた翻訳は、かなり質の悪いものでした。
 前回担当された行政書士とは違う複数の行政書士事務所の作成した翻訳が付いていました。色んなところに別々に頼まれたら翻訳料だけでも高くついたのではないかと思います。
 最初から申請支援センターに翻訳込みで頼まれた方がよっぽど安くついたんじゃないのかなあ。

 翻訳は2件とも最近見かけるようになった安売り業者のものでした。

 名指しの悪口は言いません。
 罪は憎んでも、人は憎みません。

 また、誤訳は許せます。
 僕も年中やっています。人の目を変えて三度見チェックしてもすり抜ける事はあります。

 許しちゃいけないのは、「手抜き」や「やる気の無さ」です。

 片方の事務所の翻訳には韓国戸籍(家族関係登録簿証明書)の左下の個別番号さえ入っていませんでした。帰化申請でも相続登記でも、個別番号が無くても法務局は受け付けてくれます。だからといって、翻訳に抜いていいものではありません。現実に翻訳番号無しや個別番号の誤りでトラブルになった例を韓日、日韓ともに知っています。

 もう一方は、縦書き除籍で「判読不能部分が多いので」とことわって全体の翻訳を放棄してコピーをつけて申し訳程度にところどころ切り貼りしています。これなら法務局と縦書きは日本語なので抄訳を付けますと話し合った方がましです。
 なぜ切り貼りか?
 抄訳にするとA4半ページにも満たないので「金が取りにくい」からです。魂胆が見えています。
 おまけに僕が改めて翻訳してみると判読できない部分はほんの1行程です。翻訳投げ出しもいいとこですがな。

 案の定、双方とも電算運営責任官の名が「オ セハ」とカタカナ表記です。

 昨年の取り下げなので、同じ翻訳を付けられ無いこともないのですが、あまりに恥ずかしいので全部一から取り直して全部翻訳しなおしました。

 頭に血が登って随分と翻訳批判が長くなりました。
 手抜きして安売りする姿勢が許せないのです。

 話は戻って、前回の取り下げ申請は姿勢の良くない翻訳はついているものの、担当された行政書士の書類は悪く有りませんでした。
 親族の生年月日に誤記は有りましたが、そのくらいの誤りは僕もします。
 人間の行為にはミステイクは付き物です。システム上の再発防止策は毎回考えねばなりませんし、ミステイクの部分にもよりますが、ちゃんとした対処さえ欠かさなければ法務局はケアレスミスは許容してくれる事がほとんどです。

 深い事情は一切書けませんが、前回の申請は、総評すると「頑張りすぎて、取り下げざるを得なくなった」というところです。
 まあ、私が偉そうに申し上げる筋合いじゃないですが、さじ加減の問題だったのかも知れません。

 ご本人も芯はいたって真面目な方で、概して生活も安定しており、ほとんど非の無い方です。

 ただ、表見上の素行の不安要素について過度に対処しすぎていたため、その部分に瑕疵が発生したときに一気に信用が崩れて法務局もカバーしきれなくなったのかなあという気がします。

 ご本人は「申請支援センターのテクニックで、今日の申請をよろしく!」とプレッシャーを与えて下さいます(笑)。

 でも、テクニックも何も、そんな都合の良い魔法の杖は持ち合わせていませんし、特に話のうまい方でもありません。

 帰化申請は行政書士が頑張って何とかなる部分はほぼありません。
 通る申請は通るし、通らない申請は行政書士が逆立ちしても通らない。
 今回も、わざわざ遠い大阪の行政書士に頼まずとも、自分でなさったらよろしいですがな、と軽口を申したほどです。

 そして、大事なことは、「今日」できることは何もないということです。

 もちろん、昨年の取り下げから時間が過ぎている分、現在の状況を見渡して修復しないといけない部分は修復していただきました。
 ご家族とも相談していただいて、十分にご本人に苦労していただいています。

 そう言う意味では、もうリカバリーは済んでいるのです。

 リカバリー申請に今からしにいくんじゃなくて、リカバリーが済んだから帰化申請にいくわけです。

 あと、僕に出来ることは、申請の邪魔にならないことくらいですね。

 あ。もう、新幹線降りなくっちゃ(焦)。