韓国朝鮮籍の方は帰化申請を考えるなら、特別永住者証明書や在留カードに変えない方が良い?

 今年7月9日に外国人登録法が廃止されてからは、外国人登録証明書も廃止され、特別永住者の方には特別永住者証明書が、それ以外の中長期在留外国人の方には在留カードが、それぞれ交換されることになりました。
 これを特別永住者証明書・在留カードの引換交付といいます。

 7月9日からは法律上世の中からは「外国人登録証明書」というものは存在しなくなりますが、すぐに、みなし特別永住者証明書やみなし在留カードを、特別永住者証明書や在留カードに引き換える前に、少し検討された方が良い場合もあります。

 それは、韓国・朝鮮籍の方の場合で、通称名の印鑑しか作っておらず、「本名の印鑑」を所持していない方です。

 普段、通称名で生活をされておられ、銀行口座も保険も通称名で登録されておられ、本名の印鑑はとくに生活に必要が無いので、お持ちでない方がたくさんおられます。

 しかし、帰化申請などで韓国の書類を取り寄せたり手続きをしたりする場合には印鑑を押す必要が出てきます。

 この印鑑は、駐日公館で手続きする場合には、とくに本名の印鑑でなくても許される場合がほとんどなのですが、あくまでも、「その通称名の方が、その本人であること」が明らかであってこそなのです。

 ところが、新しい在留制度への変更後は、特別永住者である韓国人・朝鮮人の方であっても特別永住者証明書に「通称名」の記載がなくなります。
 韓国人や朝鮮人の方で、特別永住者以外の中長期在留外国人の方についても、婚姻等により通称名をお持ちの方でも、在留カードには通称名は記載されません。

 本国手続きの際には、必ず何らかの「写真の入った」身分証明書を提示しコピーを提出するのですが、これまで本国手続きに”最適”だったのは外国人登録証明書でした。
 なぜなら、外国人登録証明書には、写真、氏名(本名)、通称名、生年月日、性別、住所、世帯主、さらには国籍の属する国における住所居所が、行政区画単位までは記載されていたからです。

 しかし、これからの特別永住者証明書に通称名の表示はされなくなるとなると、韓国の発給担当者が厳格な方だと、通称名の印鑑では、通称名と本名をつなぐ証明書がないことには発給できないと言われても仕方ありません。
 この場合、通称名表記のある外国人住民票を合わせて提出するなどの指示がある場合も考えられ、そのような際は市役所や区役所に再度出向かなければならなくなることでしょう。

 運転免許所持者であれば、氏名欄に「通名こと本名」の表記があり、韓国の法律上は身分証明書として問題なく運転免許証も認められることになっていますが、運転免許証には国籍の属する国における住所または居所欄がありませんので、本国での登録に事情がある場合などは少し弱いかなという気もいたします。

 いずれにしても、様々な申請をスムーズに進めるためには、当面の間は、みなし特別永住者証明書や、みなし在留カード、つまり、旧外国人登録証明書のまま引換交付を受けずに手元においておかれるか、認印でもいいですから、本名の印鑑を購入または調製しておかれることをおすすめします。(もちろん、氏名印、いわゆる三文字印であるに越したことはありません。)

 そして、特別永住者証明書や在留カードの引換交付をされずに、みなし特別永住者証明書やみなし在留カードとして旧、外国人登録証明書を残しておいた方が良い理由が他にも存在します。それは、本名の印鑑がないと本国書類を取得しにくくなるかもしれない、といったような生易しいことに比べたら、もっと数段深刻な理由なのですが、それについては後日あらためてお話しいたしましょう。

 

参考:在日韓国人の帰化申請

参考:在日朝鮮人の帰化申請

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」