喪失国籍許可証書の提出段階まで来て帰化申請が不許可?

 先週土曜日の帰化申請相談会に来られた方から、何とも、馬鹿らしいと申しますか実に残念な話を聞きました。

 帰化相談会でいつものように依頼者本人の法定条件関係と身分関係を聴取し、いくつか課題はあるものの帰化申請は不可能ではないという結論に落ち着き、私から「依頼を請けられますね」と聞いてご本人も少し気持ちが和んだ頃に、「不許可になることって、あるんですね」と突然切り出されたのです。

 依頼者自身は韓国籍の方なのですが、よくよくお聞きしてみると、友人に(自称?)中国籍の方がいらっしゃって、その家庭の帰化申請がほんの数年前に「(その方がおっしゃるには)不許可」となったそうです。

 自分で申請されたそうで、その方のお話が正確なのかどうかはわかりませんが、曰く、帰化申請が済んだ後に中国国籍の離脱証明書を取得するように法務局から指示されたそうです。

 「帰化申請が済んだ後」つまり「受付後」に国籍離脱の指示があったということは、大阪方式の帰化申請の流れで考えると、恐らくは中華民国籍(台湾籍)の方であり、中国国籍の離脱証明書というのは台湾の喪失国籍許可証書のことだと推察するのですが、もしそうであるとすれば、ある意味、帰化許可の「内定」まで漕ぎ着けていたはずだと存じます。

 ところが、その中国籍であろう友人の兄弟がもっと以前に申請をした際には、特に離脱証明は要求されなかったけれど許可になっているを伝え聞いて、その友人は理屈っぽい方であったこともあったので、インターネットの相談コーナー(多分、知恵袋などでしょう)で相談したところ、離脱していないのに離脱証明は必要ないといった回答があったので、「取れるはずがない!」とそのまま法務局に言って放ったらかしていたら結局帰化がダメになったそうです。

 確かに台湾の国籍喪失許可証の取得は中国籍の方の国籍証明書と比べると大変な場合が多いですが、もうひとがんばりすれば許可でしたのに。それでも、香港の方の国籍離脱証明書よりは、まだ台湾の人の方が楽かもしれませんが。

 友人の方は、別に犯罪もしていないので、受け付けられた限りはそのうち許可になるだろうとタカをくくっていたそうです。それも帰化の許可率が100%近いというインターネットで読んだ情報を鵜呑みにしていたからだそうです。あくまでも、表面上の許可率であるということを理解していなかったのですね。
 また、国籍に関する証明書は国籍条件に関することですので、犯罪がないとか素行条件を満たしていることとは何の関係もありません。

 台湾籍の方の国籍喪失許可書取得の指示は「帰化許可の内定」と言っても過言でないだけに、ちゃんと素直にがんばっていれば、あと数カ月で許可になっていたと予想され、他人事ながら残念に思います。

 もちろん、帰化専門の行政書士に依頼されていたら、そんな結果になることはまず無かったことでしょう。

 しかしながら、あくまで「帰化申請が済んだ後」に指示があったとの話から台湾籍と考え国籍喪失許可証であろうと推察しているだけのことです。中華人民共和国籍の方であれば、大阪方式の場合は帰化の受付直前に国籍証明書の取得を指示されるのですが、受け付け後に国籍証明書をとらせるブロックもあります。そのようなブロックでも本人が帰化の受付がされた後すぐに審査が始まる前にやっぱり「中華人民共和国の国籍証明書」を大急ぎで取って来いと指示される例もありますので、この場合には帰化の内定どころか審査は始まってさえいません。また、そうであれば、「帰化がダメになった」というのも不許可ではなく、取り下げとなったということです。

 いずれにしても、自己申請される方は情報が「親類」とか「友人」とかに限られるため、どうしてもひとりよがりの行動をしてしまいがちです。特に知恵袋などのようなところで大事な一生のことを聞いてみようという発想が信じられないことです。

 先週、依頼に来られた方は「私が許可になったら、その友人を引っ張って来ます!」と笑っておっしゃいますので、私も「不許可案件のリベンジなら是非申請支援センターに。」とPRしておきましたが、「但し、僕のお願いすることをひとつひとつ素直に聞く性格の方でなければ請けられませんよ。」と笑顔でクギをさしておきました。

 いくら申請支援センターががんばっても、本人が一生懸命にならないと、何度申請しても許可になりません。

 それが帰化申請です。

 

参考リンク:帰化許可・帰化不許可

台湾人の帰化申請

中国人の帰化申請

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」