無きことの証明書(不見当証明)を付ける意味/帰化申請必要書類

無きことの証明ついでに、もう少し書いておきましょう。

 無きことの証明をつける意味合いは、国籍法施行規則に定められた書類完備条件だけでなく、国籍法5条1項3号の素行条件にも関係してきます。
 つまり、帰化申請という人生の大事な機において、一生懸命、真面目に取り組む気持ちのある人かどうかということも、見られているのです。
 
 ただし、さすがに無いことの証明の取り方が悪いというだけで、不許可や取り下げになることもないでしょうし、とりあえず添付されている限りは受付はなされることでしょう。

 しかし、法務局職員もプロですから、「いい加減な探し方をしている」ことは、明確にバレてしまいます。いい加減な性格の人であることがわかるわけです。
 ということは、つまり申請者に対する素行上の評価が落ちるということですから、他の書類の内容や、作成した申請書の内容自体の信用度が下がってしまいます。
 その結果、自ずと調査も深くなりますし、面接などにおいても時間を掛けて厳しく取り調べられ、本当に素行上あやうい人は、実際にその他の素行によって取下げ・不許可となる可能性があがるわけです。

 また、何よりも、許可に至る期間が長くなってしまいます。

 論理的に目的の書類が存在することが間違いないであろう場合には、法務局や法務省の職員ができるだけ本人の戸籍を正確に作るために、申請者に変わって調査をしてくれることもあります。
 しかし、この場合でも帰化申請の必要書類は、原則、職員が申請者の代わりに取り寄せをしないきまりになっていますので、それが東京に送られた後であれば、一旦審査をストップさせ、法務局の担当者を通じて申請者本人に連絡をして、存在する役所にあらためて請求するよう指示し、取得が済めば法務局に提出させ、さらに追送書類として東京に届けられた後で、ようやく審査を再開させることになります。このような時は、そのやりとりだけで2ヶ月程度許可が延びることもあります。

 ただ、法務局や法務省の職員が一生懸命に探してくれる場合というのは、許可が延びるにしても、運の良い場合です。必要書類を探したり提出したりするのは、本来、申請者自身のすべきことですので、あることがわかっていて職員が探してくれなくても、何の文句も言えません。この場合は、正確な相続ができない日本の戸籍ができあがるわけです。
 戸籍の訂正は、とくに親子関係の認定にまで話が及ぶと裁判所の許可が必要となりますので、弁護士費用だけでも帰化申請の費用の何倍もかかる結果となることは覚悟しなければなりません。

 いずれにしても、帰化申請を専門に行う行政書士に課せられた任務は、少なくとも法務局職員や法務省職員の職権でなければ為し得ない調査以外については、職員がする調査と同じ全て調査を前持って済ましておくことです。そのためには、官庁での調査がどのようなものであるのかも知っておく必要があるでしょうし、また、その調査法も年々変わっていきますから対応していかなければなりません。
 それが、申請者の帰化に至る期間を、少なくとも「長くしない」コツであり、正確な相続ができる戸籍を作成するためのせめてもの努力です。
 

参考リンク:
無きことの証明書(不見当証明)/帰化申請必要書類
無きことの証明書(不見当証明)の書式/帰化申請必要書類
無きことの証明書(不見当証明)を付ける意味/帰化申請必要書類
 

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」