帰化申請の際に古いパスポートを失くしたという人

 帰化申請の必要書類のひとつ、パスポート(護照・旅券)については、現在のパスポートだけでなく、過去のVOIDされたパスポートも必要となります。

 ところが、「古いパスポートを紛失した。」とか「古いパスポートは捨てた。」と簡単に言う人が居ます。

 私の経験上、そうおっしゃられる方の6割から7割の人が、実際には古いパスポートも持っておられました。帰化申請にあたって、家をじっくり探してみたら見つかった、パスポートを持っていることをわざと隠していた、大陸の親に預けていた、と理由はさまざまです。

 しかし、「簡単に」古いパスポートを紛失したとか古いパスポートは捨てたと言う流れは、疑いを持たれる可能性が高いです。私も、パスポートを失くしたと話される話し方から疑問を持つことがあります。

 法務局も申請支援センターも年がら年中、申請者の方に、「前のパスポートはありますか?」と聞いているわけですから、嘘はだいたいわかります。
 中には、どのような経緯でパスポートを紛失したか、あるいは、破棄したかというストーリーを考えていて、なかなか堂に入った言い訳をされる場合もありますが、だいたい同じようなストーリーであり、同じような部分を追及されると、口ごもるか怒り出すという対応をされるので、結局は全部わかります。

 そして、パスポートを紛失した「ことにしていた」理由が非常に大事な事です。

 一番悪いのは古いパスポートに都合の悪い事実が載っている、ということですが、こんなものはパスポートを提出しなくてもバレますし、不許可となります。

 それ以外の理由であって、とくに古いパスポートに違法な事は載っていない場合でも、実はあったという場合は、さまざまに疑いをもたれます。
 ここでいう「疑い」とは、出入国歴など直接パスポートに関係する事実に関する「疑い」にとどまらず、その人間性など申請者自身についての「疑い」です。

 疑いが晴れれば結局は許可にはなるわけですが、それだけで審査に時間も掛かりますし、面接や追加書類などのやりとりなどで余分な時間が掛かりますから、許可になるまでの期間が長くなるということです。
 何もパスポートに限ったことではないのですが、自分で申請する方や、帰化申請に慣れていない行政書士事務所の方の申請で、許可になる時間が長くなるのはそのような理由があります。

 また、本当に古いパスポートを紛失していた時、本当に古いパスポートを破棄していた時、であっても、それで許してくれるほど法務局も甘くありませんから、出入国の開示手続などを指示されることも多く、今度は、申請受付に至るまでに多大な時間が掛かることになります。

 いずれにしても、過去のパスポートについても、「簡単に」、紛失したと考えず、しっかりと探すようにして下さい。

 

参考リンク:帰化申請の必要書類

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」