韓国人の帰化申請では韓国の除籍謄本を遡って取得する必要があることがよくあります。と申しますか、帰化申請専門の行政書士は、「全ての案件において」父母ともに幼少期の除籍まで全て確認します。その上で依頼される帰化申請者の経済的事情を考えて提出する除籍謄本を必要最小限に抑えるのです。
法務局から指示されてから家族関係登録簿・戸籍調査を行うのは間違いなく二流・三流の行政書士です。
ところで、法務局から除籍謄本の提出を指示されるかどうかは、その家族の婚姻・離婚届出と出生日の状況によっても、提出する法務局によっても、変わってきます。
法務局によって違うというのも一般の方は驚かれるかもしれませんが、これは帰化申請の添付書類が何かと法律上具体的に決まっているわけではありませんので仕方ないのです。要は、日本国の将来や日本人、日本社会が困ることの無いことが確実であるということを証明するための資料がそろっているかどうか、ということですので、家族ごとに状況が違う以上は千差万別であって然るべきであり、何をもって帰化条件を満たし本邦戸籍を作成するに問題ないとするかは審査する法務局に委ねられるべきであるからです。
その中で、必ず除籍を添付する地方もあれば、原則は除籍をつけないという地方もあります。
そして、その除籍を遡らないといけない状況が存在するときに、「まずは」父方の除籍を遡るという考え方と、「まずは」母方の除籍で済むという考え方があります。
父方の除籍を提出する理由、母方の除籍を提出する理由はそれぞれ異なっており、
それぞれの理由にはもっともな根拠があります。
私は長年、「まずは」母方派であったのですが、大阪法務局でも「まずは」父方除籍となることが多く、「まずは」母方派の主張を繰り返してきたのですが、先日、神戸地方法務局の職員さんと話をしていて、さらに日韓の民法・戸籍法の変遷を考えたとき、「まずは」父方派の主張も妙に納得できるなと気付き、最近、宗旨替えをしようかと思っています。
ただ、「まずは」とかナントカにかかわらず、何度も言いますが良い行政書士は全ての案件において、父方、母方ともに、戸籍調査だけは行っておかなければなりません。