ドナルドキーン氏の帰化後の氏名

 先日、日本文学研究家・評論家のドナルドキーンさんの帰化申請が許可となり、帰化なされたという記事を書きましたが、新聞各社の報道によると、帰化後の氏名は、氏を「キーン」名を「ドナルド」とされたそうです。

 帰化前の姓名の日本語の当て文字(カタカナ表記)をそのままご利用されたわけです。「鬼怒鳴門」はあくまでペンネームのひとつで実際に帰化後の氏名として本名に使われたのではありません。
 カタカナは日本人の氏名として使える文字の中にありますから、法律上、何の問題もありません。厳密には英語を正確に日本語にすることはできませんから完全な氏名の一致ではないものの、従前の氏名も英語表記されずカタカナ表記されますので、帰化の前後で同じファミリーネームと同じパーソナルネームを持つことになり、一族のアイデンティティーを保持する上で良い選択であったことと考えます。

 ただ、今後キーン家では、(家族全員で帰化されていない場合、既にアメリカ人として生まれていらっしゃるであろう子供さん達が現在も米国籍でいらっしゃる可能性は大いにありますが)子供も孫も、その後の子孫全員が、キーンという氏を名乗ることを受け継いでいくわけですから、「キーン太郎」君「キーン花子」さんといった名前を使っていかねばならないことも、帰化申請前に十分に検討された上での決断であったことと存じます。

 もしも、十分に検討せずに「帰化後の名前」を選択されたのであれば、子、孫、さらにその後の子孫にとって、重大な説明責任を追わなければなりません。
 これは、その氏が「良い」とか「悪い」とかいう話ではありません。

 外国風の名前を選んだ思いをきちんと子孫に伝えていく責任があるということです。

 日本の苗字は、単なる「姓」ではありません。
 その家族が「日本の社会の中」で、暮らしていくための、家族の名前。
 それが「氏」です。

 そして、日本という素晴らしい国の、伝統的で、ほんとうに大事な、大事な、「氏」という制度なのです。

 

参考リンク:帰化後の氏名として使える文字

参考リンク:帰化後の氏名として現在の氏名をそのまま使うことはできますか?/帰化申請Q&A

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」