財務状況の確認における東西帰化申請の温度差

 昨日(といっても予約投稿なので「さっき」なのですが(笑))、帰化申請の面接時に財政状況の再確認がなされるので注意しなければならない、ということを書きました。

 ただ、これは特に大阪法務局で顕著な注意点であって、東京法務局をはじめとする他の法務局では少し事情が変わって来ます。

 これは、各法務局での帰化申請の審査の進め方の違いによるものです。
 各法務局では、地方毎の帰化申請者数や帰化申請者の在留資格比などを考慮して、極力帰化申請者の利便に叶うように受付や審査業務の流れを法務局毎、あるいはブロック毎に決めています。

 申請数の多くが特別永住者でありパスポートの渡航歴の確認などにそれほど神経質になる必要がなく、また申請数が多い大阪法務局本局などでは、沢山の帰化申請の相談・点検・受付をこなしていかないといけない理由から、受付時には影写本提出書類の原本確認をいたしません。
 このことと4人(曜日によっては5人)の相談員が常駐されていることによって、予約無しで何時訪れても、相談ができる体制を大阪法務局は確立しているのです。これは素晴らしいことです。

 一方で、東京法務局では大阪と同じように帰化申請数が多いからと言っても、人文知識国際業務・技術・投資経営・日本人配偶者等といった特別永住者以外の外国人の比率が大阪よりも多い事情もあって、影写本提出書類も受付時にひとつひとつ確認して、確認済みスタンプ及び印を受付時や書類点検時に押していきます。もちろん、大阪でもコピーのみを提出する書類の原本は帰化申請審査の流れの中でちゃんと確認するのですが、受付時に確認することはないだけですが、東京では受付時までに確認します。

 ですから、1件の受付や書類点検に要する時間が長く、多くの民亊法務協会の相談員がいるにもかかわらず予約が必要です。
 だからといって、大阪法務局のように特別永住者の帰化申請ばかりではない事情もあるので(大阪も特別永住者の帰化申請だけというわけではありません。「ばかり」というのは比率の上での誇張です。)、コピー書類の原本確認をより丁寧に行う必要があります。

 ところで、財政状況の確認においては、世帯全員の預金通帳なども確認しなければなりません。古くは、銀行の残高証明を求めていたこともあったらしいですが、1件2,000円の手数料が掛かりましたので、10件の残高証明を取るだけでも20,000円になる計算ですから申請者のコストを抑えるために現在では預金通帳でも許されるようになっています。

 東京法務局などでは、預金通帳の写しの提出を求められ、これはコピーのみを提出する書類となりますので、原本を受付時に提示し、原本確認印を押すという作業が発生します。

 しかし、大阪法務局では現在ではとくに貯金通帳の写しの提出は求められません。
 堺支局のみ、長年貯金通帳の写しを提出していましたが、現在では大阪法務局管轄の他の本局・支局に合わせて、提出しないようになりました。

 ところが。

 大阪法務局でも、写しの提出は原則求められないものの、貯金通帳の内容は「きっちり」と確認されます。

 その確認の時期が面接の時なのです。
 受付時の預金残高は自己申告で申請書に記載していますから、数か月後の面接で貯金通帳の内容を確認することで時間をまたいだ預金残高の日額ができますから、結果として、実際の月々の収支の内容が瞭然となるわけです。

 帰化申請者の生計を審査する上で、とても良いシステムだと思います。

 ただ、東京法務局などでは、上述のとおり受付時までに預金通帳の原本を提示させて確認していますので、面接時には、とくに通帳の持参を指示されないことの方が多いようです。
 帰化申請の受付後の財政事情の変動は、勤務先が変わるとか、事業で大きな赤字が出るとかいった、よほどの事がない限りは、確認の必要が無いという捉え方なのかもしれません。
 殊、生計条件に限っていえば、申請受付の後は、東京の方が緩いのかなあというイメージです。
 
 このような温度差が、各法務局・地方法務局・支局ごとにあるために、ひとつずつ、対応策を持っていることが、行政書士事務所としての大きな強みになっていきます。