帰化はできたけれど相続ができない

 現在、うちの帰化申請者の方プラス全国からの相続や帰化や結婚やとバラエティー豊かな目的の韓国家族関係登録簿証明書(除籍含む)の翻訳に加え、台湾案件用の翻訳を抱えているので、昨晩深夜2時半ぐらいに寝床に入ったはずなのですが何故か朝6時前には起きて、頭の中は優先順位の計算でピコピコ演算しながら、弾き出した順番に必死で翻訳業務に没頭していました。

 半日で57ページとか、1日で112ページとか、自分でも考えられないような記録を打ち立てています。戸籍翻訳の速さのワールドカップとかあればあれば日本代表で出場できるんじゃないでしょうか。
 まあ、これもパソコン様とかキーボード様とか、現代の神さんのお陰ですね。
 20数年前には、タッチタイピングが速いだけが取り柄で他に何も能力のない衆議院議員秘書だったのですが今ではこれまた小さい戸籍翻訳の世界の中だけでブイブイ言わせるようになりました。20数年で進歩無いオカタですなあ。

 と、とにかく、朝からカンヅメ状態で翻訳に没頭していたら、事務所から電話があって、今、相続用の韓国書類の取り寄せと翻訳で困ってる人が事務所に飛び込みでお越しになられているとの事。
 電話で概要をお聴きしてみると、さっき隣の大阪法務局で相続関係書類一式揃えて相談に行ってみると、被相続人の父が帰化しているので本国書類一式を必要分準備して翻訳も添付してもう一度来て下さいと言われたのだが、これまでも既に数回法務局に来ているので、もうこれ以上、領事館と法務局を何度も往復するのは懲り懲りだと思って、法務局隣の「帰化申請相談!」という看板を見て飛び込みましたとの事でした。

 本音を申しますと今の僕の状況で、取り寄せや翻訳だけの仕事で面談する余裕はありません。翻訳だけでの面談は全て断っており、翻訳だけの依頼は補助者と打合せをしていただくか郵送やFAXでのやり取りしています。だって、翻訳だけの業務の流れを説明するのは申請支援センターの事務員さんの方が僕より旨いし的確ですし、僕と会うと何かいきなり意味も無く説教されたりしてお客さん自身が無駄な時間を我慢しないといけないだけです。郵送、メール、FAXと電話で、パパッと打ち合わせた方がご本人がよっぽど楽です。

 帰化申請は僕に叱られて、バチッと帰化申請できる人に生まれ変わる御祓の儀式が必要ですし、ちゃんとした申請を伴う案件については行政書士は自分の事務所でお会いしないと受任できませんので、北海道であろうと九州であろうと、大阪に来て相談しなさい、と言うのですが、翻訳にそのような無駄な儀式は必要無いのです。

 いずれにしても、僕も今言われて今は、今日の状況からはちょっとしんどいので、ご本人がお断りになられるだろうと思って「今僕は自宅でカンヅメなので、これから支度して事務所に行くなら1時間半待ってもらわないといけません。また、正式に依頼されない際は僕の顔を見ただけで相談料が掛かります」と申し上げると、会えるなら待ちますとおっしゃる。よほどこれまでのやり取りが大変だったのでしょう。

 韓国書類の取り寄せもお願いしたいとおっしゃるのですが、今印鑑は持ってきていないとおっしゃるので、お名前をお聴きしてみると良くある氏だったので、うちの事務所の近所のダイソーの場所を説明して待っている間に印鑑を購入しておいていただくようお願いしておきました。

 お会いする事を約束した限りはお待たせしてはいけないので、タッタッタと着替えて、髪もおっさんモードに整え、早急に事務所に向かいました。

 お声の感じは本当にほがらかで上品で頭も良さそうだし、どなたからも好かれるだろう方のようでしたので、僕からアドバイスされて、あともう一度頑張ってみようと勇気を持たれたら自分で進められるんじゃないかと思ってましたので、お会いしたら相談料だけいただいて、取り寄せはお断りしようと、それでもまだ思っていました。
 
 ところが。

 日本の戸籍を拝見した途端、これは僕の出番やなと。
 エラソーですが、奥さん、僕に会えて運が良かったと。

 能力もある方なのでしょう、日本の戸籍については既に帰化事項の記載された除籍謄本まで過不足無く揃えていらっしゃる。
 しかし、自分や兄弟姉妹の身分欄の帰化事項に従前の姓名が・・・、無い。