いくら収入があれば帰化申請が許可になるのか?

 「いくら収入があれば帰化申請が許可になるのか?」という質問は、帰化業務上のFAQです。代表的な頻出質問のひとつといってもいいでしょう。

 「帰化の生計条件は収支のバランスを審査されますから、いくらあったら良いという基準はありません」というのは、このインターネットの世の中ですから、どなたでも知っている情報でしょう。

 でも「これだけあっても場合によっては不許可になる」という実例を話しましょう。
 これは、ご自分で申請して不許可になられた方のフォローアップ相談での事例です。

 月収だけの話で言うと、40数万円の月収(手取額)がある世帯でした。

 一般にこれだけの収入があって(お金関係だけで)不許可になる事例で多いのは、借入金が多くて債務超過になっているか、隠し収入があるか、税務関係の素行条件のどれかと考えて良いのですが、こちらの方はそのどれも当てはまらないようでした。

 帰化申請は「総合判断」ですので、財務状況だけで判断されたとは言い難いのですが本人から他の帰化条件についても細かく聴取した結果、不許可判断に至った要因の中で財務状況が重い部分を占めていたと考えられます。

 ご本人のプライバシーもあるので、匿名の情報とはいえ詳細を書くことは避けますが、要はその40数万円の収入の構成内訳が問題視されたものと考えられます。
 違法な収入は一切無いのですが、臨時的な収入と判断されたもの、公的補助にあたるもの、また現在の家族の就労状況等を勘案すると実質的安定収入は非常に低くなり、よく考えずに組み立てた支出とのバランスが大きく崩れ、生計条件に多大な不安のある申請書となっていました。

 帰化申請不許可後の有料相談というのは訴訟含みでの相談が多く、訴訟をするかどうかは弁護士に相談するか自分で決めていただくしかないのですが、帰化申請の実務者との意見としては不許可要因を潰して機を見て再申請をするのが一番近道でコストも低く済むのではないかと思います。

 この方には、生計面以外にもふたつの大きな山が有りますが登れない山では内容なので、しかるべき期間をあけて帰化相談に来られるようお話ししておきました