世の中には色んな事があります。
帰化申請の為に韓国の除籍謄本を取ってみたら、なんと母の死亡後に父母の婚姻申告が行われているというケースに出会うこともあります。
ある帰化申請では母の死亡後に父が前妻と離婚し母と婚姻するという状況となっていました。
冒頭には「世の中には色んな事があります」とは書きましたが、実際には上記のような事は絶対に事実として存在しないことは明らかです。
つまり、戸籍の記載上にのみ存在するだけであって、要するに、虚偽の申請が行われたという事です。
しかし、韓国であれ日本であれ、古い時代であれ、公務員が死亡後に婚姻申告(届出)を受理するような事はなかったはずです。
では、なぜそのようなことが起こったのか。
右記のケースを時系列で説明すると、
1、父が前妻と婚姻申告
2、父母の子供が生まれる
3、母が死亡
4、父が前妻と協議離婚申告
5、父母が婚姻申告し、父が子供の戸籍整理申告
6、母の死亡の戸籍整理申告
という流れです。これらは全て韓国戸籍上の申告です。
つまり、母の死亡を伏せたまま、母との婚姻や子供の出生の申告を行ったわけです。ちなみに、本邦にも婚姻届は提出されておらず、現在ではお父様は既に亡くなられている案件でした。
まあ、とんでもない事であり、帰化申請を進めていく上でも、「死亡後の婚姻」など認められることはありません。
父母の婚姻は違法であり無効であり、もちろん準正にもなりません。全員が非嫡出子の身分となります。
しかし、お父様が亡くなられた今、法律や役所の取扱に照らして現在の状況を再考してみるならば、違法であってもよくぞ死亡後の婚姻申告をしてくださったという部分もあります。
お父様(あるいは申告代理人の方)に感謝すべき帰化申請でございました。
ただ、父と母の立場が逆なら100%、そのままでは帰化申請できないところでした。