韓国籍の方の帰化申請のみに関係する話題です。
中国籍、その他の方には関係ないですが、お許し下さい。
開業されたばかりの行政書士の方の多くが、決まったように間違った認識をされていることがあります。
先日も、行政書士として開業され、帰化申請を業務のひとつにしようとがんばって勉強されている方から、次のような言葉を聞きました。
「韓国の人の帰化申請で必要になる書類って、韓国の人の相続時に必要な書類と比べて、少なくて済むんですね。除籍を遡らないで済むので、楽ができそうです。」
同じような質問を、毎年、大阪会で務めさせていただく帰化申請実務研修が終わってからの質疑応答で聞きに来られる方からも、何度かお聞きしました。
しかし、これは初心者の方が、勘違いされている間違いです。
相続書類と比較して少ないのは、あくまで法務局に最初に要求される時点での「提出」書類のことです。
帰化申請の専門家を標榜して帰化申請で行う業務としては、必ず、少なくとも相続時と同じ期間まで遡って確認しておかなければなりません。
それはたとえ、現在の家族関係登録簿記録事項証明書上で様々な順番が整合しているからといってもサボることはできませんし、実際に、現在の内容を見ている上では全く問題ないように見えているのに過去の除籍で大変なことになっている例も少なからずあるのです。
それを父母とも確認しておくわけですから、被相続人おひとりの相続手続きの倍くらいの手間はかけておく必要があるわけです。
さらに「父母」の「生年月日」がいつなのか、また、父母の婚姻日がいつなのか、という話は、子供の出生年月日と比較してのみ検討するものではなく、単独にそれぞれが意味をなすものであり、その状況によって、行うべき様々な手続きが存在します。
それらを全くせずに、父母の婚姻日と子供の生年月日のみをざっと確認して、帰化申請に必要な基本9セットのみしか読んでいないという行政書士の方は、はっきり言って帰化申請を行う資格はありません。
報酬をいただいて、帰化後に問題を残すような仕事をしているようでは、社会悪でさえあることでしょう。相続時に損害賠償請求を受けても文句を言えません。
多少面倒くさくても、ほぼ全ての案件で、父母ともに相続時と同じだけの除籍を遡って、少なくとも内容は読んでおくのが、帰化申請に従事する行政書士の務めです。
普通、本国官憲に支払う手数料だけでも、1件3000~5000円程度は掛かります。
ただし、全ての翻訳書類を実際に作成し、法務局に提出するかどうかについては、その内容によって省力化しても構いません。要は、行政書士自身は親族の流れを全てを理解しておく必要があるということです。
とくに、就籍を行っている案件は注意しなければなりません。
本人と父母との関係は正しくとも、祖父母と父母の関係において間違いまたは虚偽があり、現在の家族の姓自体に誤りがある場合もあるのです。
被相続人の精通・初潮時程度まで遡ればよい相続時の本国除籍よりも、考え方によっては、帰化申請の方が慎重に確認をしておく必要があるといえましょう。
提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」