先日、親子連れで帰化申請の相談に見えられた韓国籍の方がいました。
親子連れといいましても、子供さんは既に二十歳も越えて独立されているご家庭です。
帰化相談が始まってから第一声で、お母さんが話し出されました。
「日本に来てから姨捨となったので、私自身は帰化申請をあきらめていますが、子供だけでも帰化が許可になり何としても幸せになってほしいので、どうかよろしくお願いいたします。」と頭を下げられるのです。
姨捨のことは、子供さんも初耳だったみたいで、驚いた表情でお母さんの顔を見つめておられます。
私も、てっきり就籍されていない事情とか、親族との縁が切れてしまって登録基準地がわからなくなってしまっているようなことをおっしゃっているのかと思い、「たしかに、本国戸籍が見つからないとか、就籍していないという際には、帰化申請が大変になることはありますが、姨捨の状況が素行条件に直結するような状況でない限りは、まだあきらめる必要はありません。」などと、まずは励ましの言葉をかけました。
しかし、お母さんは続けられます。
「でも、姨捨なんですから・・・。日本は厳しいでしょ、姨捨には。」
そりゃ確かに、前近代の時代のように親を山におぶって行って本当に捨ててくるようなことがあった日には犯罪ですから素行条件に直結する問題ですが、実際にそのような事がされた経験があるとも思えず、特別養護老人ホームなどに親を入所させたことなどを自分で勝手に親不孝だと決めつけて悲しんでおられるんだろうか、と何があったのかすごく気になりました。
「姨捨ねぇ、お・ば・す・て・・・、おばすて!」
滝川クリステル風に繰り返して、そこで、ようやく気が付きました。
オーバーステイです!
まあ、実際に、帰化申請の素行条件の中では、オーバーステイは最高に深刻なマイナス材料のひとつではありますわ。
しかし、よく似てますね。おばすて、と、オーバーステイ。
息子さんも、私も、吹き出しました。
オーバーステイ以上に、もっともっと深刻な事情がある案件だったのですが、現在、申請に向けて進行中です。
参考リンク
:帰化申請の素行条件
提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」