先日、帰化申請の出張サービス商法をやっている行政書士に気を付けましょうという記事を書きました。
行政書士法においては、偽物の行政書士や、誇大宣伝をしているような行政書士から、依頼者を守るため、行政書士事務所以外での契約や相談など、業務を行うことや、2か所事務所を設置することが禁じられています。
出張サービス商法は「きちんとした行政書士事務所を設置していない行政書士が、『いつでも電話一本で駆けつけます』などの文言で、自分の事務所に来所させる事を避けながら仕事をする」商法です。
自宅で開業することは全く悪くないことで、私の師匠である先生も自宅に非常に立派な行政書士事務所を併設して業務を行っておられます。
しかし、一方で、顧客のプライバシーを守れるような方策を全く取らずに、名ばかりの事務所で営業されている方も中にはいらっしゃいます。
そして、そのような方々が「出張相談サービス商法」をとられている事があります。
さて、今日は、その「出張相談サービス商法」よりも、さらに悪い、最悪とも言って良い、悪徳行政書士の「電話とメールのみ商法」について、解説しておきましょう。
というのも、1,2ヶ月ほど前に次のような事件があったからです。
その1,2ヶ月くらい前のことですが、わざわざ遠い岡山県から申請支援センターの土曜日の帰化申請相談会にお越しになられた方がいらっしゃいました。
もともと、電話で少し相談したかったようなのですが、電話での相談は精度が低いため、全く意味がない事なので、うるさい私は、その岡山の方に「本気で考えてるなら、大阪まで来て会って相談を受けないと受任しません!」と突き放しました。「大阪まで来るつもりがないのであれば、お近くの岡山にも行政書士は居るのだから、とにかく、申請支援センターでなくとも、行政書士に『面談で』相談してもらわなければ、全く意味がないよ。」と付け加えておきました。
そうしたところ、この相談者の方は、今後の日本で暮らしていく人生について本気で考えているらしく、遠方からわざわざ大阪まで、申請支援センターに依頼するため、土曜日の相談会に参加されたのです。
しかし、お会いして現時点の状況を深く聞いていきましたところ、残念ながら、帰化申請条件は完全に満たしておらず、また、当方のフォローによりできないものが何とか即刻申請できるようになることはあるのですが、どれほどフォローしても、現時点では即刻申請する事はできない案件でした。
それで、しかるべき時間を置いて、あらためてご依頼をいただくことを約束されて、今回はご本人があきらめられることになりました。ただ、時間を置いて申請をすることになった時に、また別の理由で帰化条件に満たさないことがあると大変なので、今後の注意点を丁寧にアドバイスして、ご本人は残念ながらも納得・満足して帰られたのでした。
ところが、最後に帰られる際に、その岡山の方がおっしゃられるには、申請支援センターに相談の電話を掛ける前に、やはりインターネットで調べた大阪府下の行政書士事務所に電話相談をしたそうで、その事務所からはいい加減に申請できると言われたそうでした。
電話で相談をすると、ほんの10分くらい話を聞いただけで、「まあ、いけそうですから、メールで見積書を送りますから」と何度も何度もしつこくメールアドレスを聞くので、しぶしぶ教えたら見積もりを送ってきて、その後は、電話で早く委任してください、と電話で勧誘を続けてくるので気持ち悪くなったそうです。調べてみると、若い男の行政書士で、まだ平成23年に開業したばかりの事務所だったようです。
それで、自分の聞きたいことだけ、電話で尋ねようと思って申請支援センターに電話を掛けたところ、私から「電話で帰化申請ができるかどうか聞けるなんて、甘い!」とこっぴどく叱られて、じゃあ、いちど本当に申請ができるかどうか、キチンと聞きに行こうと決心して、遠い岡山から大阪までお越しになられたのだそうです。
まあ、実際には、岡山-大阪は2時間くらいで来れますから大したことないのですけれどもね。
私も岡山県行政書士会本会から依頼されて帰化申請の研修会の講師で寄せていただいたことがありますが、ほんのすぐでした。岡山は開けた良い町です。
いずれにしても、岡山から来られたこの相談者の方は、100%帰化申請ができないと当方が判断した以上は、100%帰化申請ができない方ですので、電話などで申請を受任していたら、大変なことになるところでした。
しかし、最近は、なんとしても帰化申請の仕事を一件でも欲しいという、開業されたばかりの方が、ろくに面談もせずに、メールなどで受任をすすめることが増えているようです。
大阪府行政書士会でも、毎年春に私が行う帰化申請の研修会でも、国際部が行う入管手続きの研修においても、また、行政書士入管取次者の研修会においても、「依頼者と面談をせずに依頼を受けることは、厳禁です!」と指導している、指導されているにもかかわらず、この手の違法な誘いをする行政書士が後を絶ちません。
この岡山の案件については、具体的な証拠・証人もあるので、いずれ行動をおこそうと考えているのですが、早く反省して、電話・メール商法などを卒業して、行政書士業務の王道を歩んで欲しいものです。