帰化申請の出張サービス商法

 行政書士は基本的に事務所以外で業務を行うことは違法です。
 私も行政書士になりたての頃には支部の大先輩の先生方から、事務所以外で行政書士業務を行わないよう厳しく教えていただきました。

 もちろん、相談を受けたり、依頼者との契約を交わす作業は紛れもない業務です。
 事務所以外で、契約書を交わしたり、委任状を貰ったりする行為が常態化しているような場合には、行政書士法の存在さえ没客してしまう大変な事態となります。
 このことは、行政書士だけでなく他士業でもかなり厳しく取り扱われているようです。

 しかし、最近、帰化申請のホームページを拝見していて「アレッ?」と思うのが、「お電話いただければ、ご相談に駆けつけます」という表示。

 帰化申請の出張サービス商法、です。

 これは禁止されている事なのです。

 行政書士法において事務所の設置が義務付けられているのは、どこの誰に依頼しているのかを依頼者が確実に把握できるようにという趣旨ですので、たとえ依頼者側の希望でも契約を事務所以外で結ぶのは許されていないものです。
 きちんと契約や相談業務を事務所で行った上で、書類の受け渡し等で、依頼者宅に伺うくらいは許されてもいいのではないかとは、個人的に考えますが、右記の「お電話いただければ、ご相談に駆けつけます」とまでホームページで広告するに至っては、完全な行政書士法の逸脱と言えるでしょう。

 私も開業当初は、自宅に事務所を置いていたので、家の応接間を改造した事務所にお越しいただくのは少し気が引けていましたが、それでも恥ずかしいながらも紛れもなくそこが事務所なので極力お越しいただいていました。
 また、途中から事務所以外で相談会を開き出した頃には、依頼者本人に時間が無い場合など、その場で委任状をいただくこともありました。

 しかし、大阪府行政書士会の綱紀委員会から呼び出され、相談会を個人で自分の事務所以外で開くこと自体が行政書士法を逸脱しているという指摘を受け、幸いなことにその数ヵ月前から谷町2丁目に事務所移転していましたので、以降、事務所以外での相談業務はよほどの事が無いかぎり行わなくなりました。

 帰化申請はプライバシーに関わる話が多いので、自分の事務所内に相談コーナーを置けず共用スペースなどで相談するのも問題がありますのであまり狭い事務所じゃ商売にならないし、国籍課のある大阪法務局と駅までの間!と決めていましたから、自宅開業時と比べて月間経費が約20万円増えましたから貯金は全然増えなくなりましたが、安定して続けさせていただいている事に、守り神の方違い神社はじめ神仏に感謝しています。