自営業の方の帰化申請は特にシビアです

 今日は、足取りも重く帰途についています。

 と言うのも、本日正式に受任する予定であった帰化申請希望者の方の申請が不可能であった事が判明したからです。

 申請支援センターが申請不能と判断した部分は「生計条件」。
 自営業者の帰化申請でした。

 法務局は自営業の方の帰化申請において特に生計条件の審査がとても厳しいです。

 先日、ASC申請支援センターの帰化相談会に参加された方だったのですが、住所条件、生計条件、素行条件、能力条件、国籍条件、思想条件の帰化条件と身分関係について、詳しくお聞きしてみて、母の名前もご存知無いものの身分状況から何とか当方のフォローで何とかなりそうな中華民国籍の方でしたので一旦、前に進めましょうと言うことになりました。いたって真面目な方でした。

 ただ、日本での身分関係書類がそのご年齢からほとんど揃わない見込みの中、本国台湾戸籍さえ無い可能性があり、さらに法務省の保管する閉鎖原票や書換前原票も自分のもの以外取得権限が無い事が濃い状況で、(これは申請支援センターの帰化ノウハウに関することなのでブログで書けませんが)ある書類を手に入れるために今日夕方に待ち合わせたのでした。

 先に聞いていた生計の状況では、もう「ほぼアウト」というギリギリの線でしたが、その状況でもコンスタンスに国民年金を払続けて来た経緯もあり、もうひとつの順法な奥の手を駆使すればなんとかなると踏んで、帰化申請のご依頼に、首を縦に振ったのでした。

 しかし、折角書類取得でもう一度お会いするのだから、今年の確定申告を拝見してから帰化の委任契約を交わすことにしました。
 それが今日だったのです。

 ところが、確定申告の内容を拝見して、今日の時点では生計条件を満たしていないことがハッキリ判明しました。

 素人に近い行政書士では判断できない微妙なレベルです。
 しかし、100%不許可です。
 申告書以外のプラス条件をご本人と一緒に片っ端から検討し直しましたが、それでもダメです。

 経験のほとんどない行政書士だと怖くて受任しないでしょう。
 中途半端に1、200件程度の経験のある行政書士だと、一か八か法務局に持って行ってしまって、少し待てば申請ができたのに長期間申請できなくなるでしょう。
 そんな微妙なレベルです。
 
 でも、「自営業者の場合には」確実に生計条件で引っ掛かる状況です。
 そこには、真面目であるとか、コツコツ暮らしているとかで全く救える余地はありません。私が「帰化許可率100%継続中」とか青い事を言っていた駆け出しの頃に、大大失敗して命を失いかけた案件と似た状況でした。

 確実に今、動いては帰化が遅くなる案件です。

 だから、本人にとって1日でも早く帰化したい気持ちもわかるし、私にとっても1件でも多く受注したい気持ちもありますが、正式な受任は見送りました。
 それが結果的に一番早くご本人が帰化申請できる道なのです。

 ただし、近い将来の帰化申請に備えて、身分関係だけは確定しておくことになりました。
 全部の帰化条件が揃ったときにもう一度落胆してはいけませんから。

 そして、私の中では帰化申請の法務局の受付日まで具体的に決めています。
 来年度平成27年4月3日金曜日です。
 鬼をも笑わせそうな、この行政書士魂が、ASC申請支援センターのプライドです!