帰化申請取下げ勧告を拒否して帰化許可へ

 本日は1日中、帰化申請に関連して様々な事件が飛び込んで来て、目が回る一日でした。
まさに血圧が上がったり下がったりのエレベーター状態だったかもしれません(汗)。

 朝一に、裁判明けでありまた交通違反の状況が素行条件ギリギリに加えて面接後に違反を重ねられてハラハラした案件の帰化許可告示を確認して少し血圧が落ち着いたのもつかの間、11時からの帰化申請依頼者との打ち合わせの直前に、すでに帰化申請の準備を進めている方から申請を前に事故を起こしてしまった!との電話が入り、状況からすると申請が頓挫してしまう可能性があるため何とか前に進めれるようにするための方策を順番に説明して少し打ち合わせが始まるのをロビーでお待ちいただいて話が始まりました。
 
 もう、中断しないよう電話は繋がないようにと思っていたのですが蓮舫さんの二重国籍問題以降さすがに台湾国籍の方の国籍条件の確認が厳しくなってきたようで面接直後の別々の台湾籍の方がそれぞれ駐大阪台北経済文化弁事処から「今、弁事処に来てますのでなにとぞ」との電話が入り結局中断しやっと打ち合わせが終わったと思ったら、月曜に面接があるという電話があり明日は土曜相談会が3時を残してほぼ一杯で夜は京橋に行かねばならないし日曜は先約があるということで今晩8時から面接アドバイスを行いましょうかということになってようやく事務所を出発して今日の官庁廻りの仕事が始まって途中天王寺サービスカウンターで待ち時間の途中に今朝の帰化許可者の許可後の手続きについてレクチャーをしてから事務所に戻り面接アドバイスの前に少し翻訳を進めようと思っていたらまた面接の連絡があったとのご報告がありいつですか?と聞いたらなんと明日ですとの事で今晩はもう既に別のアドバイスが入っているのだけど事業所得者のややこしい申請でもなかったので8時の面接アドバイスの前に7時から電話で1時間ですませましょうということになり面接アドバイス2件が終わって時計を見たらもう21時半でしたという村上龍風疲れる長文にならざるを得ない流れでした。

 その中で、嬉しい知らせも2つありました。
 最近は、許可が長期化した場合などに許可の少し前に現況を再確認してくることがちらほら入るようになりましたが、双方ともいわゆる帰化申請の「内定」の電話でした。
 もちろん、法務局は「内定」との言葉は決して使いませんが、実質上内定の電話です。

 そして、そのうちの一方は、台湾国籍の方の例の内政部に国籍喪失許可申請をしてくださいという指示電話でした。

 これには、飛び上がって喜びました!

 というのも、この案件は2回の面接の果てに「取り下げ」の行政指導があった案件だったからです。

 長年にわたって帰化申請を「本当に」沢山行っている事務所では、当落ぎりぎりの案件も日常的に扱いますから、帰化申請の許可率が100%というのは、まずありません。

 申請支援センターでも過去に「取り下げ」事例は、数件あります。
 また、取り下げ後にあらためて再申請をして、許可となった事例もあります。

 ひとつ言える事は、法務局が「取り下げた方が良い」と指示した案件は、ほぼ間違いなく「取り下げた方が良い」のです。

 しかし・・・。この案件は、取り下げませんでした。

 もちろん詳しくはご紹介できませんが、本人や家族と置かれている状況や取り下げを進められている理由、その理由が生まれた経緯、そして何よりもこのご家庭の真面目な生活態度などを総合的に判断し、私は”勝算がある”と踏んだのです。

 普段は、取り下げた方が良いものは取り下げた方が良いので取り下げるのですが、取り下げないとすれば、かなりの高い確率で「不許可」が待っています。

 私にも、まださすがに「不許可」はありません。
 取下げや、不許可を通して、行政書士は大きく大きく進歩するので「不許可」のない現状は「私もまだまだやなあ」というところなのですが、それでも不許可はイヤです。
 今回、その初めての不許可をかなり高い確率で受ける事態になることは覚悟の上で、数か月前に申請続行を「決断」いたしました。

 さっきの”勝算”があったからです。

 この”勝算”が無ければ、「絶対に」取り下げるべきです。
 取り下げなければ不許可となり、不許可となってしまう事は、再申請に多大な影響を与えますから依頼者の人生にとって大きな大きなマイナスとなってしまうからです。
 「イチかバチか、取り下げずに置いておきますか」などと言う事は、担当する行政書士に考える余地が無いのです。

 今回は、申請支援センターに”勝算”があったから、取り下げなかった。

 しかし、取り下げを指示された案件で、「なーんにもせずに」単に取り下げないというだけであれば、それは不許可に向かっての片道切符を買うだけの事ですから、「取り下げなくてよい”新しい”重大な理由」がなければなりません。ところが、取り下げようか取り下げまいかという話の中で、もう困り顔で申請者自身と私が雑談を行っている中で、大きな武器を見つける事ができたのでした。そして、この本当に真面目に毎日を暮らされるご家庭の状況を、新しい武器とともに法務大臣に嘆願していただいたのです。
 もちろん、思い付きや小手先の事では、日本国の「代表」である法務大臣は動いてくれるものではありません。今回は、ご本人たちの長年にわたる真摯な希望が、このご家庭の未来を救ってくれたのでした。

 おかげで、せっかくの「帰化不許可」の勲章は、またお預けです。

 もう一件の嬉しい知らせも帰化の内定電話のご報告であり、奇しくも、昨年別の事務所から申請されて申請後のトラブルでやはり「取り下げ」られた事案のリカバリー案件だったので、そりゃもうこちらも嬉しい限りなのですが、リカバリーであろうが何であろうがASC申請支援センターが自信を持ってOKと判断した案件に心配はありません。こちらは私の判断上、素行と生計について”現状は”問題ありませんし、さらにリカバリーなりの対処も申請書に施してありますから何の心配も無く、まあ普通の喜びでございました。
 ただ、いくら心配がない申請であっても、内定後に、大きな事故や違反があれば、全ては「無」に帰してしまいますので、何事も起こらないよう、心から心から神仏にお祈りいたしております。