帰化申請の素行条件と厚生年金

 昨年のナナテンゼロキュウ帰化申請以来、帰化申請に年金の加入義務・支払義務を果たしていないと、帰化申請が100%できなくなったことは、帰化専門の行政書士にとっては、もう既にあたりまえの認識となっているかと存じます。

 私も、新基準の帰化申請書類内容が明らかになり始めた平成24年の春頃からは、帰化相談会参加のお電話をいただいた際に「2号です、3号です。」つまり「自分は(または夫が)サラリーマンで、会社で社会保険に加入してもらっています」と聞いた途端、いつもホッと胸を撫で下ろすようになりました。

 しかし、1号、つまり、国民年金加入義務者よりも、さらに厄介なのが法人役員などの強制適用事業所に該当する場合です。

 自分の会社は適用届の必要がないと勘違いしている経営者の方が非常に多いのですが、経営者は「少なくとも」直近、つまり「前年度」の会社が払った年金保険料の領収証の写し等を提出しなければなりません。

 つまり、きちんと厚生年金適用事業所として登録されていなければいけませんし、被保険者の分の年金保険料を「会社として」支払えていなければなりません。

 経営者が自分の「国民年金保険料を支払っている」ということと、「厚生年金適用事業所としての義務を果たしている」ということは、まったく違う話であり、国民年金を払っているからといって、厚生年金事業者としての義務を果たしていないことは絶対に許してもらえません。

 ちなみに、国民年金保険料であれば、ひとりにつき年間18万円ほどのことですが、厚生年金保険料となると結局は会社負担分と自己負担分を合わせて支払うわけですから、たとえ、5,60万円程度の報酬しか取っていない経営者でも、年間あたり130万円程度の保険料が掛かります。さらに健康保険も社会保険となりますから、国民年金を掛けてきた人と比べれば、雲泥の差があります。

 ただし、この話で重要なことは、「帰化申請をするとか、しないとか、に関わらず、会社経営者として果たしていなければならない義務である」ということです。

 帰化申請をするつもりがなくても、今後は気をつけていかなければ、世の中の動きとして、年金未納や年金事業所非加入問題は社会問題としてメスが入る動きが顕在化してきたということです。

 とくに、入管においても、実際に在留取消・退去強制という事例が実際に出てまいりました。
 それほど、外国人の年金、税金、社会保険に関する違法行為は、もう国が目をつぶっていられないくらいの域にまで達してきたということなのです。

 

参考:帰化申請の素行条件

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」