何かひとつでも欠けていたら帰化申請はアウトです

 先日の相談会に参加された方の一部に、対照的な2件の帰化申請の相談がありました。

 もちろん双方の方のプライバシーや心情も考慮し、いくら名を伏せてと言っても詳細な状況は書けません。今日のテーマを語るのに必要となる帰化条件に関する抽象的な大枠部分のみの話でお許し下さい。

 一方の方は、総じて普通に暮らして来られていますが、生計条件上の不安があり、そこから派生して素行にも疑問が抱かれかねない経済状況の台湾籍の方でした。
 自営業の方に頻繁にある、節税(実質は「間違いなく脱税」です)を見抜かれて帰化申請が不許可になるパターンと混同されかねない案件です。確定申告上で非課税かそれに近い所得額となっていて、その申告が正しければ生計の根拠が無くて帰化できない、その申告が間違っているなら過小申告で素行条件上アウト、という自営業者のジレンマです。

 しかし、この方は私が昨年からご指導申し上げて来た方で、過小申告などの「嘘」が無いことは良く存じ上げており、うるさいくらいの私の注意を守って来られたので、今後の経営に一抹の不安は残るものの、帰化申請を前に進めましょう!ということになりました。

 何とか修復可能と思われる身分登録上の問題もあり、ご自分でなさったら誤解されて帰化はほぼ見込みの無い案件ですが、何とか法務大臣に理解いただけるレベルにまでブラッシュアップしたいと意気込んでいます。

 さて、他方の方は生計条件も素行条件も、不安すら無い方でした。

 脱税も申告漏れも無く真っ当に暮らされてきた上で潤沢と言って良いだけの所得も資産もあり、素行上においても何の問題も無い素晴らしい方です。

 しかし、思想条件、このひとつに適合しないだけで、帰化申請は諦めざるを得ませんでした。

 看過できない身分上の問題もありましたが、こちらは数十万円から5、60万円のお金で解決できる問題であり先述の通り資金は潤沢にあるので半年から1年もすれば帰化申請が可能な状態になります。

 しかし、思想条件については、その思想を払拭したと法務大臣にはんだんしてもらえるまでの気の遠くなるような時間を必要とします。

 他の案件でも、申し分ないように見えた方が国籍条件ひとつで諦めないといけない事案なども非常に良くあります。

 帰化申請の条件は、どれが大事で、どれが大事じゃない、なんてありません。
 全て大事で、全て満たしていないといけないのです。