帰化後の氏名で氏に「澤」「濱」「齋」などの旧字が使えるか、使えたか?その1

 帰化後の氏に使える字の基準は「旧字」であるとか「旧字」でないということではありません。

 国籍法改正前については「帰化後の氏名に使える文字」かどうかは、戸籍法上、法務省令第60条に定められた「子の名に使える文字」であるかどうかということが、その基準でした。

 旧字にも「廣」「國」のようにもともと「子の名に使える文字」に含まれている文字もあれば、「澤」「濱」「齋」「邊」など「子の名に使える文字」に含まれていないものもありますので、子の名として使える旧字も、子の名として使えない旧字もあるわけです。

 国籍法改正前には「帰化後の氏として使える文字」については、「子の名に使える文字」であるかどうかということがその基準であったために、旧字の中でも「子の名に使える文字」でない旧字は、原則、使用することができませんでした。

 平成24年7月9日の在留制度改正に合わせて発行された新しい「帰化申請のてびき」では、国籍法改正に基づいて、「帰化後の氏として使える文字」については「子の名に使える文字」でなければならないという規制がなくなったので、現在は旧字の全てが使用できるようになりました。

 しかし、「子の名に使える文字」かどうかの判断の方が、現在の基準よりはよほど簡単なことなので、帰化申請を扱う行政書士にとっては実のところ、かえって帰化申請の業務が難しくなったといえます。依頼者が帰化後の氏名を決める際にどの文字が使えてどの文字が使えないかを判断して正確に助言できなければならないからです。法務局は一応、調べてくれますが、あくまでも氏名を決めるのは申請者ですから、名前の件については一切責任は持ってくれません。

 資料をあたらなければならない分、面倒になったという印象です。
 資料を持っていなかったり調べ方がわからない行政書士は、帰化申請ができなくなりました。

 標題の「帰化後の氏に『澤』『濱』『齋』などの旧字が使えるか?」という部分についての答えは、「現在は使えるようになった」ということです。
 今後帰化申請をされる方については、小澤さん、澤田さん、濱崎さん、濱田さん、齋藤さん、渡邊さん、などなど、全て、普通に帰化後の氏名として使用できるようになりました。

 では、国籍法改正前までの昔から、「帰化後の氏に『澤』『濱』『齋』などの旧字が使えたか?」ということについては、長くなるので後日お話ししましょう。

 

参考リンク:
帰化後の氏名

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」