事実婚(内縁関係)の夫婦は、帰化申請に備えて世帯統合すべき?すべきじゃない?その2

 「帰化申請をして帰化が許可になり日本人となった後で、婚姻届を提出して正式な夫婦となりたい」というカップルは非常に多く、内縁、つまり同棲の状況となっているケースは国際恋愛に多数存在します。

 世帯統合の手続きにより、これらの結婚届を退出前のカップルであっても(つまり、事実婚状態の内縁関係であっても)、外国人と日本人の混合世帯として市区町村で登録してもらえることは前回書きました。
 7月9日以降は、世帯統合することで、ひとつの住民票において、世帯票を発行してもらえることになりましたから、帰化申請添付書類の収集の上で、ほんの少し省力化できることは歓迎すべき事です。

 世帯統合の手続き自体は以前からできたので、特に7月9日の在留制度改正とは直接関係のない話です。

 ただ、世帯統合することで「同じ世帯の」同居人となりますから、内縁の夫や妻としての権限で、7月9日以降はふたりが記載された世帯票を取ることができるようになりました。
 7月9日以前も世帯統合をしていれば、例えば、外国人の内夫が自分の権限で日本人内妻の住民票を取得することが可能でしたが、外国人は住民基本台帳法の適用を受けず外国人登録原票記載事項証明書が住民票の代わりとなっていましたので、日本人にしか発行されない住民票に記載される事はありませんでした。
 それが「仲良く一緒に」住民票に載せてもらえるようになったことは、少しは心情的に嬉しいニュースでしょう。

 しかしながら、内縁である限りは、配偶者として掲載されるわけではありませんから、「同居人」などの表記となり、純粋に「夫」「妻」という表記がされることはありません。
 未届けの夫や妻という表記も不可能ではありませんが、日本国の婚姻(届出)制度を大切にすべき立場上、行政書士としておすすめできるものではありせん。それらは「夫でも妻でもなく」、あたかも夫や妻であるかのごとく本人自身が勘違いしてしまうと本来一日も早く届出すべき身分上の関係を遅らせてしまい将来の生活や相続に深刻な影響を与えることが間違いないからです。
 年金の扱いなどが夫婦同様になること自体が、よけいに当事者を勘違いさせてしまい、深刻な状況となることを助長してしまうのです。

 世帯統合自体は、お互いの利益が合えば、大いに行って行けばよいものと存じますが、ただし、世帯統合する前に、検討すべきことは他にもあります。

 長くなったので、次回にでも。

関連記事:
事実婚(内縁関係)の夫婦は、帰化申請に備えて世帯統合すべき?すべきじゃない?その1

 

参考:住所条件・居住要件/帰化申請の条件

提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」