1月に受付を行う帰化申請は、ほんの少し、要注意です。
暦年変わり直後ということもあり、本来、注意すべき部分はさまざまなことがあるのですが、今日書くのは生計面のことだけです。
帰化申請において生計面の報告は、「原則、直近月」です。このことが原因で帰化申請を悠長に進めているとやり直しばかりで申請できないという帰化申請の難しさにつながるのですが、まあ、それはおいておいて、1月に行う帰化申請の話に戻すならば、1月の申請で開示すべき生計の内容は、直近である前年の12月分となります。
しかし、12月ということは、一般のサラリーマンの多くがボーナス月であり、年末年始を控えて経済的支出の内容も平素と相違します(端的にいうと、支出が多くなることでしょう)。
また、12月の給与明細においても、年末調整による源泉徴収税の戻りや不足分の徴収などもあり、収入
自体が普段の月と比べて変わってきます。
国籍法第5条1項4号の要件該当性、つまり生計条件を満たしていることの立証責任は、申請者本人にありますので、平素と違う計算の中で、恒常的な生計の安定性を説明するには、細部にまで注意して、申請書を作成しなければなりません。
面接時に、論理の破たん、つまり、つじつまが合わなくなるからです。
行政書士の立場から見ると、1月の申請は「その後の面接のときに、面倒になること」をあらかじめ予想していなければならない月です。
それを見越して、申請書も作成しますし、ずっと時間が経過した後の面接においても、何をアドバイスするかを考えておかなければなりません。
しかし、一般の方は、ポイントをわからずに生計の概要を作成しますし、たとえ、入念に申請書を作成できたとしても、作成した時は工夫を凝らした部分を覚えていても、時間がたった後の面接の際には、ほとんど忘れてしまいますので、かえって、工夫したことが説明つかなくて、面接の受け答えがおかしくなってしまうことがよくあります。
ポイントがわからないことを責めることはできません。(どなたにとっても)初めての申請でポイントなどわからなくて当然です。
ポイントが分からないことが法務局のねらいです。
人間の生活ですから、さまざまな不整合が出てきて当然なのですが、その不整合の説明の仕方や、やりとりの中で。その申請者個人の「人間性」が出てきます。
その中で、例えば、本当に生計の内容を偽っている人は、嘘が発覚して、取り下げ・不許可となります。
真面目に暮らしている方は、そんなに心配する必要はないのですが、自分で真面目だと思っていても、第三者の法務局や行政書士から見ると、まったく素行条件や生計条件を満たしていないということは、日常茶飯事にあります。自分で真面目だと思っている人ほど、不整合を指摘されて、逆切れとでもいうのでしょうか、法務局と口論になることも多いようです。最悪の流れです。
生計ひとつ考えても、一般の方は、1月の申請はさけたほうが良いかもしれません。
行政書士事務所でも、ほんとうは避けたいところです。
申請支援センターでも、昨年に受任した案件はできるだけ年内である12月中に、言葉は下品ですが「押し込む」ように四苦八苦しています。
それでも、年末は、直前に受任した案件に加えて、ご本人が書類提出を遅延されているような案件が一斉にもどってきますので、毎年、どうしても、積み残し案件が出てきます。加えて、お正月休みの間に、申請書の下書きをされたりする案件も年明けに上がってきますので、1月だといえども、申請受付スケジュールを組まないわけにはいきません。
まあ、今年も、がんばりましょう。(^_^)
ただ、生計概要の内容よりも、その他の暦年代わりによる重要な留意点が沢山あり、本来はむしろ、そちらの方が深刻なのですけれども。
参考リンク:
帰化申請書類(自分で作成する書類)
提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」