帰化申請では案件により日本人家族の戸籍の附票を提出しなければなりません。
ところが、法務局から要求される遡及期間中に保存期間が終了していている場合があります。
住民票の除票や戸籍の附票の除票などの法律上の保存期間は5年です。これが原則。
ただ、戸籍の改正原附票などの場合、市区町村により独自の保存期間を設けている事があります。これが原則の例外。
さらに、例外規定を設けながらも最小行政単位毎に自治体から運用を任されている事も多いです。
つまり、原則の例外の例外があるということです。
法律論だけでは片付けられないのが、実務の難しさですね。
帰化申請書類を提出する先の法務局は各自治体の運用状況を把握していますから、帰化申請を担当する行政書士も近辺の役所の運用はだいたいわかっていないと恥ずかしい状況になります。
まあ、恥ずかしいぐらいであればいいのですが、理由があって急ぎの案件では途中で停滞して帰化申請者が損することもあります。
と言うのも、法務局の担当者や協会の相談員も日本中の自治体の運用状況が完全に頭に入っている訳ではありませんから、いったん見過ごされて後で追加提出を求められる流れが存在するからです。法律論を持ち出して「あんさん素人でっか」と笑われるだけなら即刻対処できてロスタイムはほとんど無いのですが、一度OKとなって「やっぱり」というのは顕著に遅れるので行政書士の責任です。
かく申すワタクシも28日火曜に点検予約が決まっている案件で、既に除附票を取りに行ってきた際に、わざわざ窓口の方から「改正原戸籍必要ですか?」と声を掛けていただいた際に、窓口で確認した戸籍に必要事項が全て記載されていたため原戸籍自体は必要無かったので「要りません」とお伝えしたままソコで思考停止してしまい、原附票の事は検討もしないまま帰って来ました。
そして、金曜になって附票を見て平成19年改製なので一瞬胸を撫で下ろしかけたのですが「あ、そだった!」と悪い胸騒ぎがして、担当庁に確認したらギリギリセーフと言うか、仕事が増えたので僕にとってはアウトだったわけです。
でも、点検前に自分で気が付いたので、業務上二度手間になっちゃったという恥ずかしながらの失敗譚となっただけで、お客さんは全く損することはありません。
むしろ、この案件を素人の方が自分でなさっていれば、この附票ひとつの事だけで、「法務局に行く→自治体に行く→法務局でダメと言われる→自治体に行く→法務局で再確認」という3日分追加で仕事を休まなければならない流れとなった事は必至ですから、行政書士に任せてよかった案件です。
このことだけで、ですよ。
また、現実問題としては、実のところ戸籍の除附票の1通や2通無くても少なくとも帰化申請の書類点検くらいは何の心配もなく乗りきれるのですが、この話題に関する相談員や職員との会話を楽しみたいので、なんとか月曜に除票を用意しておきたいところです。
会話を楽しみたい等と悠長な事を書きましたが、現実は丁々発止の水面下の蘊蓄勝負です。毎回、その戦いを繰り返しながら実力を認めていただくか舐められるかという事務所存亡に関わる勝負なのです。
いずれにしても、月曜は平素よりスタートダッシュで忙しい上に、翌日の書類点検の準備に加えて、もっと重たい中国の国籍確認の結果が火曜日に約1ヶ月ぶりに出ることを想定してさらにそのお子様の確認の準備をしておかないといけないし、合間を縫って経営管理への在留資格変更申請が許可になった方の受け取りで南港に行かなきゃならないので、ちょっと憂鬱です。