帰化動機書は、本来、非常に重要な書類です。
帰化申請者本人が一生懸命に自分の気持ちをあらわすために、自分の言葉で作成しなければなりません。
行政書士に帰化申請を依頼した申請者は、その行政書士からアドバイスをもらうこともあるでしょう。
申請者自身と一緒になって、「帰化したい思い」をまとめるのに協力してくれる良い行政書士も少なくないことでしょう。
しかし、帰化申請をいくつか経験した行政書士の中には、だんだんと帰化申請をなめるようになってくる人も居ます。
100件、200件くらい経験したあたりが一番、帰化申請をなめて気が緩んでいる頃です。その後に、めくらめっぽう申請していた帰化申請の大事な部分が全部抜けていたことに気が付き、行政書士を辞めて首をくくろうか、夜逃げしようかと悩むことになります。
素人の申請者の人が法務局から指示されながら行う帰化申請と「何ひとつ変わらない」手続しかできないのに専門家のふりをしている人は大きな代償を払わなければなりません。
そのような中でひとつひとつ反省をしながらがんばって解決をすることができた行政書士がやっと専門家となり、また、ひとつひとつ、慎重に慎重に帰化申請を行うことができるようになります。誰もが通る道です。
ただ単に「帰化申請の書類を集め」、「帰化の手引きの記載を真似して、帰化申請書類を作成し」、法務局に提出するという、自分で申請する人となんら変わりのない帰化申請業務を行っているだけの方は注意してください。自分自身でも、本人申請と「いったい、何が違うのか」全くわかっていない人がいます。
ちょっと早いだけ?
忙しい申請者が楽できる?
それが行政書士の存在意味ではありません。帰化申請の仕事の意味がわかっていないと、10万円などといった誰が考えてもおかしな格安料金の値段設定の発送が生まれるのでしょう。
そんな為に料金をいただくのでは無いことを肝に銘じてください。
法務局をなめてかかったような申請書は、ひとめでわかります。
この「帰化の動機書」についても、初めて他人の帰化申請を恐る恐るやり始めた時は、慎重に依頼者と打ち合わせて動機書を書くアドバイスをするのですが、帰化申請をなめ出した時期には、段々と「形式だけの書類」のような気持ちになってきていることがよくあります。
しかし、帰化動機書の内容や書き方から、実際に、不許可となる例は、世の中にいくらでもあり、また、そのような際に必ず法務局が本人に対して「自分で作ったのか?」いう事を確認し審査しているようです。
最近、法務省、法務局でも、動機書の「重要度・位置付け」を見直す動きが出てきているようですから、慎重に作成しなければなりません。
そして、最悪なのは、他の動機書のデッドコピー(丸写し)です。
くれぐれもインターネットに掲載されている帰化動機書の見本や例文を盗作しないよう心掛けて下さい。
もっとも、インターネットに掲載されている帰化動機書の見本や例文の中には、失笑するような文章も見かけますから、特別永住者ならずとも(なお、特別永住者は帰化動機書が必要ありません)永住者で日本で生まれ育ったような方などはひと目で稚拙な文章であることはわかるでしょうけれど、婚姻や留学によって人生の途中から日本に来られた方の中には、「文法が合っているかどうかは判別がつくが、日本語の文章として上級の文章か、よくない文章かがわからない」方も多くいますので、よけいに注意する必要があることでしょう。
「見本」や「例文」として、本当にとんでもない文章が掲載されているのもいくつか見かけます。もしかしたら、ちゃんと依頼を受けた場合には、もう少しましな文章になるようにアドバイスするつもりで、依頼しない人に失敗させる罠のつもりなのかも知れません。
日本で社会人として暮らしていけるのか疑われるような文章を丸写しにしても意味がありません。
帰化の動機書はじっくりと自分の心の中のことを書くのが一番です。
だからといって、例えば、現在、サラリーマンの人が、「帰化許可直後に独立して喫茶店やラーメン店などの事業を始めるのが夢です」などといった動機書を提出すれば「事業が軌道に乗ってから、あらためて帰化申請に来て下さい」と言われかねませんから、生計条件や素行条件、住所条件などにも配慮をした内容であるかどうかということも非常に大事な話となります。これらの帰化条件は、今満たしているかだけでなく、将来も満たしていくことを疎明できることが必要だからです。
帰化動機が日本の国益に合致しない部分がないこと、日本語力の確認と同時に、実は、帰化条件を確認するためにも、帰化動機書は、存在するのです。
小手先で済ませることではありません。
ご参考:(帰化の動機書に関連する申請支援センターの記事は下記)
提供:帰化申請の「ASC申請支援センター」