韓国籍の方の同姓同本結婚についての考え方の違い

 現代の日本人には「氏」があるだけですが、戦後の韓国籍の方は「氏」がなく、「姓」と「本(本貫)」を持っています。
 「本(本貫)」というのは儒教上の一族の発祥(とされる)地であり、姓と本が一致する者同士は同族であるという意識を共有しています。

 とくにこのことは、同姓同本同士の婚姻において、同一血族であるとの認識から、避けなければならないとされてきました。

 1958年の旧韓国民法第809条1項において、法律上も長年「同姓同本結婚」は禁止されてきましたので、1977年からおよそ10年に一度ずつ程度それぞれ特例時限立法により儲けられた救済年を除いては、同姓同本同士の婚姻申告はできませんでした。

 その後、1997年に憲法裁判所により憲法違反(憲法不合致と効力喪失の決定)とされ、2005年3月の民法改正により法律上も廃止されました。
 つまり、現在は、同姓同本結婚も可能となっているのです。

 日本に在留する韓国人、とりわけ特別永住者で、さらに2世3世の方は、日本社会の中で日本人に囲まれて暮らしてきていらっしゃるので、もともと、親や祖父母から同姓同本婚の禁止の話を聞いたことがある、くらいの感覚しかお持ちでなかったことでしょう。

 ですから、禁止する条文が廃止されたことは、「正常化した」という認識を持たれている、あるいは、もともと気にもとめていなかった、というのが多数であることと存じます。

 しかし、本国で生まれ育った韓国人の方にとっては、廃止されたからといっても、なんのためらいもなく結婚することはできないようで、未だに心の中に葛藤をお持ちのカップルもいらっしゃるようです。

 申請支援センターに帰化申請の相談に見えられる韓国人の方のほとんどが特別永住者の方である中で、先週相談に見えられた方がニューカマーの方で、長いお付き合いの方がいらっしゃるのですが、同姓同本であるために民法改正後も、いまだに心の中の一線を越えることができず、今後もご結婚は今のところ考えていないというお話をなさっていました。

 やはり長年に亘って儒教教育を受けてこられた方にとっては、法律が変わったからといって簡単に人としての判断基準や生活習慣を一朝一夕には変えられなくても当然のことなのでありましょう。

 (大多数の方が)生まれた時から日本で暮らしてきた特別永住者である韓国人と、人生の途中から日本にお越しになられた韓国人では、やはり心の持ちように違いがあることを考えさせられた一件でした。

 

PR:韓国人の方の帰化申請のご依頼の流れは下記をご覧ください。
>>韓国人の帰化申請