帰化申請に密接な関係のある親子関係不存在確認の訴えで初の最高裁判決

 今日の分の帰化申請ブログは既に昨日電車の中から予約投稿を済ませているのですが、これは今日書かなければならない記事です。

 昨日、平成26年7月17日DNA鑑定をめぐる親子関係不存在確認について、初めての最高裁判決が出ました。

 帰化申請手続きにおいては、親子関係の存在不存在が帰化の受付を左右する案件が幾つもあるので、今回の裁判の行方には前々から注目しておりました。
 とくに昨今の地裁・高裁でのDNA重視の判決が出だすようになって以降、当方帰化申請希望者で弁護士に任せた親子関係不存在確認の訴でも、裁判官が世の中の趨勢を微妙に感じ取ってDNA鑑定を義務付けるような流れになってきていたので、先日もこのブログの中でぼやいたばかりでした。

 昨日の判決は、①生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであること、②妻及び生物学上の父の下で順調に成長しているという事情、の双方が「嫡出推定」を覆すことはない、と明示しました。
 また、民法上の出訴期間の定めは、憲法に違反しないことも判断しました。

 これにより、以後、DNAも、現在の子供の生活の安定(と表見上、見える安定)も嫡出推定を覆すことはできなくなります。

 この判決ではっきりしたのは、嫡出推定を覆すことができるのは、100%夫の子でない事情、つまり、着床した際には「完全に100%」夫との接点がなかった、という事実だけとなるわけです。
 つまり、この部分について、当事者間に争いがあり、その争点の中で夫婦の接点が100%なかったとは証明できない場合には民法の規定が優先されるということです。

 これまで、いくつもの親子関係不存在確認の訴えを見てきましたが、全て、争点はそこと、出訴期間であり、その流れを踏襲したように感じます。

 もしも、科学的事実が優先されることになれば、これまでの幾つもの確定判決がいったい何だったんだ、となりかねませんし、さらに言うと、親子関係に関する法律の規定や、裁判所の関与自体が無意味なものとなります。
 DNA鑑定をつければ、届出で戸籍訂正ができる世の中になりかねないわけです。

 私は、判決を支持します。