長年この仕事をやって来ていても帰化申請業務は日々新しい発見の連続です。
今日は数週間前に許可になられた日本人の方からご丁寧に帰化許可後の手続きが順調に進んでいる旨のご報告を受けました。
申請支援センターでは、ほぼ全ての案件で帰化が許可になった時点で「行政書士の方から」依頼者に帰化が許可になった旨と、これからの帰化後の手続きについて何をどのような順番でどのように進めて行くかアドバイスをいたしますので、この方もすでに数週間前に「おめでとうございます」のご連絡は済んでいました。
今日はその際に僕がアドバイスした内容がひとつずつ上手く進んでいる事のご報告の電話でした。細かいことを申し上げると運転免許証の関係で、僕のアドバイスの表現力が足りなかったために、本人の思い通りにならなかった事があったのですが、まあ取るに足らない事でフォローもできる内容なので心配ありません。取るに足らない事ですが注意喚起の為にこのことはまた別途記事として後日書きましょう。
しかしながら、もし帰化許可の連絡をしてくれない行政書士事務所でしたら、許可から数週間からひと月近く経過した今のタイミングで初めて帰化申請依頼者とのやり取りがあるわけですから、ここに来て「あれが抜けている」「これが出来ていない」とトラブルが発生する事もあるわけです。
許可になられた方の環境や状況によってはすごく急がないといけない手続きもあるので注意しなければなりません。
ところで、今日のご報告の中で「へぇ、そんなこともあるんだ」と知った事があります。
許可になられた方の管轄法務局は札幌法務局でだったので今年の2月末に飛行機で帰化申請に行ってきた案件でした。
何しろ北海道ですから道下には「本局」が4庁あり、国籍業務を扱う支局は有るのですが帰化申請はそれぞれの本局のみで受付する決まりとなっています。
一般に、許可になった時には受付や面接をしてくれた法務局にもう一度足を運んで帰化者の身分証明書の交付を受けるのですが、今回のケースでは札幌法務局が気を効かせて便宜を図って下さって、帰化許可者から最寄りの支局で交付を受けさせてくれたそうです。
考えてみれば北海道に本局が4つあっても4分割された管轄区域のひとつでさえ、日本で都道府県面積第二位の岩手県より広く、4分の1のひとつが大阪府の10倍以上の面積があります。
今度の方は比較的本局より離れていない方でしたが、それでも直線距離にして大阪から三重県とか下手すると名古屋くらい離れていたかもしれません。
帰化申請では、移管手続き自体がイレギュラーなもので、原則は引っ越しをしたら取り下げて帰化申請のやり直しをすべきところ「問題のない案件については特別に」法務大臣あての住所変更届を行って認められれば移管して「許可は長引きますが」継続審査をする扱いのものですから、よほどのことがない限り、受付から許可まで全て同じ法務局が担当しなければならないものと感じていました。
今回の案件では、とくに本人からの申し出もありませんでしたが、法務局側が気を利かせてくれたようです。
だいいち、帰化者の身分証明書の交付手続きの詳細までが法定されているわけではありませんから、全く違法なことではないですものね。
札幌法務局は帰化申請数が少ないにもかかわらず、帰化申請の受付で数分お話しただけで、担当者の方がなかなかあなどれない頭の良い方であることはピーンとわかりましたが、問題なく許可になり日本人となられた方については非常に寛大に対応してくれたわけです。
こんなことが可能なんだと、僕もひとつ勉強になりました。