「日の丸」とか「君が代」というキーワードが出ると、すぐに右傾化などといった批判心というかアレルギーを起こす方もいるでしょうが、「日の丸」も「君が代」も、私たち日本国民が定めた(「定められた」ではありません。国民の自由意思によりみんなで定めたのです。)国旗及び国歌に関する法律に掲げた日本人みんなが「仲良く、ひとつにまとまる」ために法定された象徴です。
そして、帰化申請の際には、やはり国旗や国歌といった日本の象徴についての忠誠心を確認することが必要であることは間違いないと思います。
先日、「米国への帰化の際にはアメリカ合衆国に対するOath of Allegiance(忠誠の宣誓)が必要だが、日本の帰化申請時の宣誓書の内容はPledge of Allegiance(忠誠の誓い)にすぎない。」という内容の記事を書きましたが、実際のところは、Pledge of Allegiance(忠誠の誓い)にさえ、足りないものです。
Pledge of Allegianceは、“I pledge allegiance to the flag of the United States of America, and to the Republic for which it stands, one Nation under God indivisible, with liberty and justice for all.(私は忠誠を誓う、合衆国国旗に、そして国旗が象徴するこの共和国に。万人のための自由と正義を有する、神の下に決して分かつことのできないひとつの国家に。/ASC申請支援センター訳)”とされ、アメリカ合衆国の「団結」と「自由」と「正義(公正)」を象徴する国旗へ忠誠を誓うという内容です。
しかし、日本の帰化申請時の宣誓書には、「私は,日本国憲法及び法令を守り,定められた義務を履行し,善良な国民となることを誓います。」という内容であり、国民の総体である日本国という国家に対する忠誠心はどこにも求められていません。
長年の武家政治と軍国主義という日本の歴史の中から、「忠誠」という言葉を持ち出すと、国家と国民の上下関係を連想してしまい、「国旗」や「国歌」の響きを聞いた時と同じアレルギーを起こす人に配慮した文言を法務省が頭を悩ませて考えたのでしょうけれども、結局は、
宣誓書と銘打つには、あまりにも骨抜きの文章
となってしまっているのです。
「忠誠」は決してとくに国民の「上」ある国家というものに対して誓うものではありません。
わたしたち日本国民の共同体である「日本の社会」に対して誓うものです。
そして、「日本の社会」の象徴として、せっかく国会での議論のすえに「日の丸」を国旗として法定し、「君が代」を国歌として楽譜と歌詞カード付きで制定したのです。
国歌の方は、本当に楽譜と歌詞カードが付いています。
国旗は、モノクロ文書だと、「黒い日の丸」に見えて、ドキッとします。
その象徴に対して、ぼくら国民が敬意を払い忠誠心を持って当然の事であり、帰化申請という、今から日本国民、つまり日本の社会の仲間になろうとする者に、敬意や忠誠心を求めることに、何の問題があることでしょうか。
僕自身は、帰化申請の際に「日本の国旗、国歌」とともに「天皇陛下」に対しての敬意と忠誠を誓っても良いとさえ考えます。
なぜならば、「天皇陛下」ご自身も、日本国憲法下においては「日本の社会の象徴」だからです。わたしたち日本国民の「仲良くいたしましょう」の象徴なのです。
このようなことを書くと、結局、「日の丸・君が代」アレルギーの左派にも、「不敬だ」という右派にも、両方嫌われちゃうのでしょうね。
いずれにしても、宣誓書に、国旗・国歌への忠誠を盛り込み、また、面接時に日本の法定国歌である「君が代」をきちんと歌えるように練習してもらうべきだと存じます。ジャンカラで練習すればいい。
あるいは、現行の「日本国憲法及び法律を守り」という文言のみで、「日本への忠誠」が含まれるとするなら、何歩か譲るならば、それはそれで「日本国憲法を守ること」は社会への忠誠ととらえて良いので確かに一理ある考え方とも言えるのですが、そうとらえるならば、やはり面接時に厳格な「日本国憲法に関する厳正な筆記試験」を行う必要があると思います。現在のような、幼児でも解けるような屁のような日本語テストだけで許されるものではありません。
僕は、2番までしかない「君が代」を練習するだけで「日本社会への忠誠テスト」に合格できるほうが、ナンボが楽だと思います。
ちなみに、隣国韓国でも厳しい帰化申請の筆記試験と、面接試験が行われ、面接試験の中で愛国歌の暗唱斉唱が必須となっており、愛国歌を2回失敗すると帰化は不許可となります。4番まであり、全部覚えないといけません。
新帰化申請宣誓書草案
「私は,日本国民を象徴する国旗と国歌に忠誠を尽くし,日本国憲法及び法令を守り,定められた義務を履行し,善良な国民となることを誓います。」
本来は、
「私は,天皇と日の丸と君が代に忠誠を尽くし,日本国憲法及び法令を守り,定められた義務を履行し,善良な国民となることを誓います。」
とした方が具体的で、「今から日本人になるでー」という意気込みがあって良いのですが、そらもう多方面から法務大臣が突き上げられそうですから、おとなしい草案といたしました。あと、僕個人の国語感覚では、公用文書で読点に「,(コンマ)」が使われることに非常に違和感を覚え「、」としたいのですが、文部省「公用文作成の要領」で決められているので仕方ないですね。現在の総務省に統合された自治省は「左横書き文書の作成要領」で「、」を使用すると決めたそうですが、内務省地方局の流れをひく自治省の規定に国の機関である法務省が従うのはプライドが許さないというところでしょうか。