蓮舫さんの二重国籍問題で様々な記事が書かれていますが、その中で朝日新聞が報じた「台湾籍を放棄する手続きをとった」という記事に非常に驚いています。
台湾籍の”放棄”という言葉は、台湾国籍法上には「二重国籍者が台湾の公職に就く前に外国籍を”放棄”しなければならない」というくだり以外には出て来ませんから、現行中華民国国籍法第11条にある内政部の国籍”喪失”許可の申請を行ったものと解して良いでしょう。
しかし、中華民国の国籍喪失許可の実務においては、中華民国パスポート(護照)を添付させられます。
これは、期限が切れて失効したパスポートではなく、現在有効なパスポートでなければ受け付けてくれません。
台湾の方の帰化申請の際に、これまで何度も国籍喪失許可申請のお手伝いをさせていただく際に弁事処に同行していますが、失効したパスポートを所持している方は「全て」新しいパスポートに更新させられています。
帰化申請を目的として「国籍喪失許可申請をするだけのため」にですよ!
毎回、帰化申請者の方には「もったいないけど、決まりだから我慢してね」と心が折れないように励ますのです。
法律上は、本来は「中華民国の」国籍証書のひとつとしてパスポートを提出するので、台湾に除籍されていない戸籍が残っていて戸籍謄本が取れる人は本来必ずしもパスポートを提出する必要がないのですが、実務上は、本国に戸籍がある人でも必ず「現在有効な」パスポートを提出させられています。
蓮舫さんの場合には、少なくとも昭和60年までは台湾で暮らした事がないようなので、台湾の戸籍に本人自身の登録はされていないでしょうし、逆に登録があったのだとしたら、とりもなおさず明確に二重国籍を続けてこられたという事になってしまいます。
平成28年9月6日に国籍喪失許可申請をされたとすれば、その時点で「現在有効な」パスポートをあらためて作って提出された可能性が高いと思われます。
また、一般の方が台湾パスポートを更新するにはそれなりの期間もかかるのですが、9月6日の直前まで「台湾国籍が残っているか調査している」とおっしゃっていたのが、急にパスポートの更新手続きを一瞬の間に済ませて、台湾国籍喪失申請をすることができたのでしょうか。
私の憤っている事は、当方から申請される方が、非常に苦労して台湾国籍の喪失申請をされたり、人によっては台湾パスポートを所持しておらず本国戸籍にも載っていない方が台湾の国籍証明書をつけられないために台湾人として帰化申請ができないケースだってあるところ、「超法規的な」扱いで、国籍喪失の手続きを済ましてしまうことにあります。
超法規的な扱いとは、もっと簡単に言うと、えこひいきです。
もしもご自分の保身のために、台湾代表処や内政部で、えこひいきな扱いをうけられたのだとしたら、どういう事でしょう。
えこひいき体質の人が、日本の国の法律を作る立場に居てよいのか。
日本に帰化する際に国籍喪失申請をする人はみんな声高に叫んだらよい。
「わたしも、パスポートも古いし、本国戸籍に載っていないが、簡単に喪失許可をすぐにくれ!」と。
追記:9/13
9/13付の報道で9/12夕方に台湾国籍を喪失していなかった事が判明したそうですが、台湾国籍の有無が明確でない9/6にどうやって国籍喪失許可申請を行ったのか、非常に不透明です。
9/23
一般の喪失許可申請者は、喪失許可が早い本国戸籍に記録されていない人であっても内政部国籍喪失許可証書が発行されるまで2ヶ月程度掛かります。もしも9/12に申請したのであればかなりのスピード許可ですね。